共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

多様なリンパ球増殖性肺病変の局所リンパ球のプロファイリングとバイオマーカー開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K08553
体系的課題番号
JP20K08553
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

リンパ球増殖性肺病変の代表である、IgG4 関連疾患は臓器の腫大を特徴とし、高 IgG4 血症および組織中の IgG4 陽性細胞浸潤と線維化を認める疾患である。一方で呼吸器単独病変で血清 IgG4 高値、組織に IgG4 陽性細胞浸潤を伴う間質性肺炎の場合、鑑別に苦慮する。血清 IgG4 高値で、IgG4 陽性細胞浸潤を認めたびまん性肺病変の症例を全国から募り 17 施設より 29 例を集め解析した。臨床・画像・病理学的な検討( MDD )を行い、多中心性キャッスルマン病など鑑別疾患を除外して残った16 例を IgG4 陽性間質性肺炎(症候群)と診断した。診断時の年齢中央値は 66 歳、男性が 12 例であった。喫煙者は 13 例、呼吸器症状を有する症例は 13 例であった。画像検査・病理学的所見は多彩で、閉塞性血管炎を呈した症例は認めなかった。15 例がステロイドによる治療を受けた。全例のすりガラス影は改善したが、 6 例で網状影の増悪を認めた。 9 例では、網状影・嚢胞性病変の残存を認めた。2 例が慢性呼吸不全、 1 例が急性増悪のため死亡した。 IgG4 陽性間質性肺炎(症候群)は、ステロイド反応性が良好な IgG4 関連疾患とは異なる対応が必要であると考えられた。上記結果をERJ Open Res 2021; 7: 00317, 2021.に 報告掲載した。
さらに IgG4 陽性間質性肺炎(症候群)を、IgG4関連呼吸器疾患(IgG4-RRD)として扱うのが適切かを検討した。IgG4 陽性間質性肺炎の多くがACR/EULAR 分類基準では特異抗体およびステロイド反応性不良のため除外された。 IgG4 関連呼吸器疾患診断基準においてもステロイド反応性について記載することを検討すべきである。IgG4 陽性間質性肺炎のすりガラス影はステロイドに対する反応性良好だが、一方で網状影・嚢胞性病変は残存・増悪し、急性増悪例や死亡例も認められる。IgG4 陽性間質性肺炎は、予後良好な IgG4 関連疾患と区別して管理する必要がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08553
ID情報
  • 課題番号 : 20K08553
  • 体系的課題番号 : JP20K08553