論文

2017年

排尿ケアチームにおける理学療法士の役割についての検討

理学療法学Supplement
  • 松永 明子
  • ,
  • 横田 一彦
  • ,
  • 小柳 礼恵
  • ,
  • 林 千恵子
  • ,
  • 長谷 久恵
  • ,
  • 宮嵜 英世
  • ,
  • 芳賀 信彦

2016
開始ページ
1628
終了ページ
1628
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.2016.1628
出版者・発行元
公益社団法人 日本理学療法士協会

<p>【はじめに】</p><p></p><p>平成28年度の診療報酬改定で排尿自立指導料が新設され,多職種で構成された排尿ケアチームと病棟看護師等が排尿自立に対して包括的ケアを実施するシステムが動き始めた。当院では,平成28年6月より排尿ケアチームによる活動が開始している。今回,当院での排尿ケアチームの活動経過を振り返り,対象者の特徴を調査した。これらを通しチーム内での理学療法士(以下PT)の役割と今後の課題について検討したので報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>排尿自立指導料算定に向けた事務部門との連携,排尿ケアチームの結成,施設基準申請に必要な院内勉強会の開催など,当院における一連の活動を振り返った。さらに平成28年6月の算定開始から8月までに排尿自立指導料を算定した入院患者150名及びリハビリテーション(以下リハ)科医師の処方を経てPTが個別療法として介入した33名を対象としてその特徴を検討した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>当院では平成28年4月から関係部署のスタッフが集まり,診療計画書の作成や対象病棟・対象患者の院内基準の決定,コンサルト手順などのシステム作りを開始した。その上で,排尿自立指導料に関わる説明会,勉強会を実施し院内スタッフへの周知を行い,6月から算定を開始した。これまでに排尿自立指導料の対象となった患者は実人数150名,診療科は泌尿器科113名,整形外科23名,その他の診療科14名であった。そのうち通常のリハ処方を経てPTが介入したのは33名(23.2%)で,平均年齢は61.1±20.3歳,整形外科23名,泌尿器科6名,その他の診療科4名,手術目的での入院が28名であった。また,PT介入時に移動を含めたセルフケアが自立していたのは29名であり,リハ依頼は主に術後の安静度拡大に応じた動作指導,機能回復などが目的であった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>多職種からなる排尿ケアチームの中で,PTは専門性を生かして排泄動作の妨げとなっている機能障害を評価し,病棟看護師等に対して安全な動作の誘導方法や環境設定を提案する役割を持つ。今回の調査では,当院での指導料算定対象病棟が外科中心であったため,リハ医の処方を経たPT介入目的は主に術後の身体機能へのアプローチであったことがわかった。今後の排尿ケアチームにおけるPTの役割として,術後の身体機能へのアプローチ以外にも疾患特性や既往歴などから判断して,低体力や骨盤底機能低下,巧緻運動機能低下などの個別に対応が必要と考えられる患者をスクリーニングし,積極的に個別療法の対象として提案していくことも重要であると考える。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.2016.1628
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005609604
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.2016.1628
  • CiNii Articles ID : 130005609604

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