2020年4月 - 2023年3月
多国籍企業の移転価格操作と貿易政策の相互依存に関する分析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
研究2年度目となる今年度は、昨年度までに実施した研究の精緻化を実施するとともに、多国籍企業の移転価格設定と貿易政策に関する新たな研究を実施した。
まず、昨年度から継続している「原産地規則の付加価値基準と多国籍企業の移転価格設定」に関しては、消費者余剰の変化に関する条件を明確化するなどの改訂を実施した。同論文は公共経済の分野で評価が高い学術誌であるInternational Tax and Public Finance誌に掲載が受理され、既に出版されている。
また、同じく昨年度より継続している「自由貿易協定の締結による生産立地移転と権限移譲が多国籍企業の法人税回避に与える影響」に関する分析について、厚生効果をより精緻化しつつその頑健性を確認するなどの改訂を行った。同論文は国際学会(APTS 2021)で報告され、現在、国際学術誌に投稿中である。
さらに、企業内取引価格がしばしば輸入国のアンチダンピング措置の対象になることに注目し、企業内取引価格に対するアンチダンピングが、多国籍企業の法人税回避行動と各国の厚生に与える影響について、新たに分析を行った。具体的には、輸入国政府が国内企業の利潤を重視してアンチダンピング措置の決定を行う時、(法人税が高い)輸出国における移転価格に対する取り締まりの強化は、アンチダンピング措置の発動を誘発する可能性があることが明らかになった。アンチダンピング措置は多国籍企業の利潤を下げるものの、輸出国の法人税収を高め、また消費者余剰を上昇させるため、厚生を改善する。しかし、アンチダンピング措置が発動されている状態でさらに移転価格の取り締まりを強化すると、輸出国の厚生はかえって低下するおそれがあることが明らかになった。
まず、昨年度から継続している「原産地規則の付加価値基準と多国籍企業の移転価格設定」に関しては、消費者余剰の変化に関する条件を明確化するなどの改訂を実施した。同論文は公共経済の分野で評価が高い学術誌であるInternational Tax and Public Finance誌に掲載が受理され、既に出版されている。
また、同じく昨年度より継続している「自由貿易協定の締結による生産立地移転と権限移譲が多国籍企業の法人税回避に与える影響」に関する分析について、厚生効果をより精緻化しつつその頑健性を確認するなどの改訂を行った。同論文は国際学会(APTS 2021)で報告され、現在、国際学術誌に投稿中である。
さらに、企業内取引価格がしばしば輸入国のアンチダンピング措置の対象になることに注目し、企業内取引価格に対するアンチダンピングが、多国籍企業の法人税回避行動と各国の厚生に与える影響について、新たに分析を行った。具体的には、輸入国政府が国内企業の利潤を重視してアンチダンピング措置の決定を行う時、(法人税が高い)輸出国における移転価格に対する取り締まりの強化は、アンチダンピング措置の発動を誘発する可能性があることが明らかになった。アンチダンピング措置は多国籍企業の利潤を下げるものの、輸出国の法人税収を高め、また消費者余剰を上昇させるため、厚生を改善する。しかし、アンチダンピング措置が発動されている状態でさらに移転価格の取り締まりを強化すると、輸出国の厚生はかえって低下するおそれがあることが明らかになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K01659
- 体系的番号 : JP20K01659
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
Review of International Economics 2025年1月28日 査読有り責任著者