論文

査読有り
2014年1月

豆乳の乳酸菌発酵産物が腸内細菌および大腸がん発がんに及ぼす影響

腸内細菌学雑誌
  • 新 良一
  • ,
  • 伊藤 幸惠
  • ,
  • 片岡 元行
  • ,
  • 原 宏佳
  • ,
  • 大橋 雄二
  • ,
  • 三浦 詩織
  • ,
  • 三浦 竜介
  • ,
  • 水谷 武夫
  • ,
  • 藤澤 倫彦

28
1
開始ページ
15
終了ページ
24
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11209/jim.28.15
出版者・発行元
(公財)日本ビフィズス菌センター

豆乳の発酵産物が宿主に及ぼす影響を検討した報告は少ない。今回、我々は豆乳の乳酸菌発酵産物(SFP:Soybean milk-Fermented Product)がヒト腸内細菌叢に及ぼす影響を検討し、さらに大腸の発がん予防とその作用機序についても合わせて検討した。SFPは豆乳を複数の乳酸菌と酵母で混合培養後殺菌し、凍結乾燥して調製した。一般的な日本食を食べているボランティアにSFPを摂取させ(450mg/day/head for 14 days)、腸内細菌叢の変化を比較したところ、SFP群はプラセボ群よりBifidobacteriumの古有率が25%以上増加した人数が多かった(P<0.05)。さらに、昼食のみを一般的な日本食から肉食中心の欧米食(肉摂取量約300g、900kcal)に3日間変えると、Clostridiumの占有率は増加したが(P<0.05)、SFPを摂取(900mg/day/head)すると減少した(P<0.05)。また、SFPの摂取でBifidobacteriumの占有率が増加した(P<0.05)。このボランティアの糞便中β-glucuronidase活性は、昼食を肉食中心の欧米食にすると一般的な日本食摂時より5倍以上増加したが(P<0.01)、SFP摂取で一般的な日本食時のレベルにまで減少した(P<0.05)。以上の結果は、SFPが多くプロバイオティクスなどで示されている大腸がんの発がんリスクを軽減する可能性を示唆していると考え、以下の検討を試みた。即ち、SFPが大腸がんの発がんに及ぼす影響は大腸がん誘起剤1,2-dimethylhydrazine(DMH)をCF#1マウスに投与する化学発がんモデルを用いて検討した。SFPはDMH投与開始時から飼料中に3%(W/W)混和して与え、大腸に発がんした腫瘤数を検討した結果、有意な抑制が認められた(P<0.05)。一方、SFPの抗腫瘍作用機序は、Meth-A腫瘍移植モデルで検討した。SFP(10mg/0.2ml/day/head)は化学発がんモデルと同様にMeth-A腫瘍移植前から実験期間中投与し、抗腫瘍効果が得られた脾細胞を用いたWinn assayでその作用機序を検討した。その結果、SFP群のみは移植6日目以降でMeth-A単独移植群に比べ有意な腫瘍増殖抑制が認められ(P<0.05)、担癌マウスの脾細胞中に抗腫瘍作用を示す免疫細胞群が誘導された可能性が考えられた。Bifidobacteriumを定着させたノトバイオートマウスは無菌マウスより脾細胞数が増加したが、無菌マウスにFSPや豆乳(10mg/0.2ml/day/head)を4週間連日経口投与しても、脾細胞数は生理食塩液を投与した無菌マウスと差が認められなかった。このことからSFPの抗腫瘍効果には腸内細菌が宿主免疫に関与した可能性が示唆されたが、その詳しい機序については今後の検討が必要である。(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11209/jim.28.15
ID情報
  • DOI : 10.11209/jim.28.15
  • ISSN : 1343-0882
  • 医中誌Web ID : 2014122948

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