2014年4月
エナメルマトリックスデリバティブとエナメルマトリックスデリバティブ由来合成ペプチドのヒト歯根膜細胞に及ぼす影響の相違
日本歯科保存学雑誌
- 巻
- 57
- 号
- 2
- 開始ページ
- 130
- 終了ページ
- 136
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (NPO)日本歯科保存学会
目的:幼若ブタの歯胚から抽出されたEmdogain(以下,EMDと略す)は,歯槽骨吸収の著しい歯周炎患者の歯周組織再生,特に無細胞セメント質を誘導し歯周組織の再生を促す材料として,現在広く臨床応用されている.しかし,EMDは生物由来であること,未知の病原体を含む可能性があることから,患者からの拒否感があるのも事実である.このため生物に由来しない合成ペプチドの開発が望まれていることから,EMDを用いた動物実験から得た成果を基に新規合成ペプチドを作製した.今までその合成ペプチドについてin vivo,in vitro両面で有効性を検索してきたが,元来のEMDと新規合成ペプチドの比較検討は行われていない.今回,歯周組織再生過程における重要な歯周組織構成細胞であるヒト歯根膜細胞に対する影響について,元来のEMDと新規合成ペプチドを比較検討した.材料と方法:ヒト歯根膜細胞として,下顎智歯抜去時に採取された歯根膜組織から樹立した細胞を実験に使用し,ヒト歯根膜細胞に対する新規合成ペプチドの影響としては,硬組織分化やTGF-βにかかわる遺伝子発現のスクリーニングとオステオカルシンの産生について比較検討した.EMD刺激群(以下,EMD群と略す)では10μg/ml,合成ペプチド刺激群(以下,SP群と略す)では100ng/mlの濃度で培地に溶解させヒト歯根膜細胞に応用し,培養2,3週のそれぞれの細胞の遺伝子発現および培養上清中のオステオカルシンの含有量を測定,比較検討を行った.結果:Real Time PCR Arrayによる解析では,培養3週において顕著な相違が認められ,培養2,3週ともに同様の増減を示す遺伝子はPlatelet-derived Growth Factor Beta Polypeptideであった.オステオカルシンの産生については,培養2週で歯根膜細胞からのオステオカルシンの産生量がEMD群とSP群には有意な差が認められなかったが,培養3週でEMD群はSP群と比べて有意に高い産生量であった.結論:これらの結果から,EMD由来の合成ペプチドは歯周組織再生の過程で元来のEMDと同様の硬組織分化誘導を促進することが示唆された.(著者抄録)
- リンク情報
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- URL
- https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2014&ichushi_jid=J01092&link_issn=&doc_id=20140522270003&doc_link_id=130004669773&url=http%3A%2F%2Fci.nii.ac.jp%2Fnaid%2F130004669773&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_1.gif
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- ID情報
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- ISSN : 0387-2343
- eISSN : 2188-0808
- 医中誌Web ID : 2014289967