2019年4月 - 2022年3月
貝類養殖における害虫多毛類の誘引・着底・穿孔のメカニズムとその起源を探る
日本学術振興会 科学研究費助成事業(若手研究) 若手研究
本研究は,貝類養殖における害虫多毛類(穿孔性多毛類)における「宿主に対する幼生の誘引・着底」と「穿孔」のメカニズムの解明と,そのような仕組みが発達してきた「進化的プロセス」の理解を目指すものである。本研究では,これまで,穿孔性の他,間隙性,共生性,埋在性など多様な生活様式を示す15属62種のスピオ科多毛類の18S,28S,16S rRNA遺伝子領域の塩基配列と7属8種のミトゲノム全長配列の取得を行い,分子系統解析とミトゲノム遺伝子配置の再配列の特徴から,亜科や属などの分類群間の系統関係の推定を行ってきた。また,本研究の遂行のためのステップとして,これまで知られていない新たな宿主(ミドリシャミセンガイ)と共生するスピオ科多毛類の新種記載や,スピオ科浮遊幼生の形態の記載と同定手法の開発についての論文を発表してきた。
今年度は,ホヤ類の被嚢に穿孔して生息するという特殊な生態を示すスピオ科の1種について解析を進め,本種が貝類穿孔性の種の姉妹種となること,貝類穿孔性の種と同様にU字状の孔道を形成すること,セルラーゼ活性を有していることを明らかにした。ホヤ類の被嚢にはセルロースが含まれるため,本種が穿孔のためにセルラーゼを利用している可能性は今後の検証に値する。また,過去に穿孔性を示す種を含むグループとの形態の類似性が指摘されていたものの系統的位置が不明なままであったAtherospio属の種を国内から発見し,本種が未記載種であることと,穿孔性を示す種群とは近縁ではないことを明らかにした。
今年度は,ホヤ類の被嚢に穿孔して生息するという特殊な生態を示すスピオ科の1種について解析を進め,本種が貝類穿孔性の種の姉妹種となること,貝類穿孔性の種と同様にU字状の孔道を形成すること,セルラーゼ活性を有していることを明らかにした。ホヤ類の被嚢にはセルロースが含まれるため,本種が穿孔のためにセルラーゼを利用している可能性は今後の検証に値する。また,過去に穿孔性を示す種を含むグループとの形態の類似性が指摘されていたものの系統的位置が不明なままであったAtherospio属の種を国内から発見し,本種が未記載種であることと,穿孔性を示す種群とは近縁ではないことを明らかにした。
- ID情報
-
- 課題番号 : 19K15899
- 体系的番号 : JP19K15899
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
ZooKeys 1015 1-86 2021年 査読有り筆頭著者責任著者