2016年
誰が給付を受けるべきか:マラウイの社会的現金給付政策における住民主体の受給者選定
アフリカ研究
- ,
- 巻
- 2016
- 号
- 90
- 開始ページ
- 29
- 終了ページ
- 36
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11619/africa.2016.90_29
- 出版者・発行元
- 日本アフリカ学会
<p>本稿の目的は,マラウイの社会的現金給付政策におけるコミュニティ住民主体の受給者選定(CBT)の特徴を,村落レベルの実態調査にもとづき検討することにある。検討にあたっては,①CBTにおいて問題とされてきた,権力者による恣意的な選定や富裕層の受給がどのように回避されているか,②CBTで選ばれた受給者世帯がどのような社会経済的特徴を有しているのかに注目した。まず,この政策における受給者決定プロセスにおいては,富裕層や村長を排除する制度が採用されており,これまで問題とされてきた恣意的な受給者の選択が避けられていた。また,受給者世帯となっているのは,政府の定める受給条件だけではなく,農村住民が重要と考える貧困や脆弱性の基準を考慮して選ばれた世帯であった。先行研究において指摘されてきた政府の定める受給者条件と実際の受給者の判断基準に違いが現れるのは,受給者選定方法に問題があるわけではなく,誰が受給者となるべきかに関して政府と農村住民の間に判断基準の違いがあるためだと考えられる。したがって今後の政策の評価においては,村民が置かれている現状や,村民自身の判断基準をも考慮に入れた,詳細かつ多面的な評価が必要である。</p>
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.11619/africa.2016.90_29
- ISSN : 0065-4140
- CiNii Articles ID : 130006300579
- CiNii Books ID : AN0001203X