共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

金星探査機と地上観測の連携による金星大気の物質循環の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
16H02231
体系的課題番号
JP16H02231
配分額
(総額)
44,980,000円
(直接経費)
34,600,000円
(間接経費)
10,380,000円

金星にどのような大気循環が存在するのかを、探査機「あかつき」と地上望遠鏡による協調観測によって解明しつつある。具体的には、(1) 探査機データを解析して下層・中層大気の3次元循環を明らかにするとともに、(2) 地上からの分光観測によって上層大気の化学組成と大気循環の情報を得つつある。(3) こうして得られた広い高度領域の情報を組み合わせて大気全層のモデリングを行い、(4) 3次元大気循環が大気の力学構造と雲の分布をどうコントロールするのかを明らかにしている。
これまでに「あかつき」のデータを解析して風速や雲量や微量気体の分布の変動の解明に取り組んだ。自動雲追跡手法により高精度の風速分布を得たうえで、高速大気循環の維持に関わる角運動量のフラックスを見積もることに成功するとともに、平均風速の長期変化も明らかになった。また、これまで知られていなかった地形励起重力波の全球分布を明らかにするとともに、様々な惑星規模の波動を同定した。電波掩蔽観測により、雲層内部の日変化や熱潮汐波の構造、微細乱流層の分布を明らかにした。
地上望遠鏡による観測としては、国内外の電波望遠鏡・赤外望遠鏡により大気の熱構造と組成分布を調べた。ミリ波観測の新たな手法を導入して従来より高精度で鉛直大気構造を得る目処がたった。また赤外ヘテロダイン分光装置により夜側大気のCO2吸収スペクトルを得て高度70-90kmの風速・温度のリトリーバル手法を確立した。
数値モデルにより大気現象の再現を行い。惑星規模の筋状構造の成因、熱潮汐波の3次元構造、高速大気循環の運動量バランスに関わる渦粘性、雲生成に伴う水蒸気や硫酸の時空間分布の解明を進めた。
これら異種観測と数値モデリングの統合により、目標とする3次元大気循環の把握に大きく近づくことができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16H02231
ID情報
  • 課題番号 : 16H02231
  • 体系的課題番号 : JP16H02231