基本情報

所属
秋田県立大学 生物資源科学部 生物生産科学科 植物栄養研究室 助教
学位
博士(農学)(2009年3月 東京大学)

J-GLOBAL ID
201601005843853248
researchmap会員ID
B000250961

外部リンク

"植物と鉄"をキーワードに、基礎から応用へとつなげる研究をしています。

(1)コメの鉄・亜鉛栄養価を高める研究

世界人口の約半分が主食としているコメのミネラル栄養価を高めれば、「隠れた飢餓」ともいわれる微量栄養素欠乏症の改善に大きく貢献します。そこで、金属栄養の体内輸送や鉄の蓄積に関連する遺伝子の発現を強化し、圃場栽培により白米中の鉄栄養価を4倍、亜鉛栄養価を60%増加させました。また、重イオンビームを照射したコシヒカリ変異株を4世代にわたり圃場栽培し、鉄や亜鉛含有量の高い変異株を選抜しました。
複数遺伝子導入によるイネの鉄栄養強化
(2)石灰質土壌における鉄欠乏に耐性を示すイネの開発

植物も、鉄が足りないと、光合成に必要なクロロフィルが合成出来なくなり、生育できなくなります。特に、石灰質土壌などのアルカリ性の土壌では、鉄が土壌に溶け出さず植物が吸収できないため、特に鉄欠乏が顕著になります。イネに三価鉄還元酵素遺伝子の導入、ムギネ酸合成酵素遺伝子の導入、鉄吸収に係る転写因子の発現強化を同時に行うことで、イネの鉄の土壌からの吸収能力を高め、様々な栽培条件においてより優れた鉄欠乏耐性能を持つイネを作出しました。
鉄欠乏耐性イネの作出
(3)イネの鉄過剰症に関する研究

酸性土壌では、逆に鉄が土壌中に大量に溶けだすため、作物に鉄過剰による障害をもたらすことがあります。特に、中国や東南アジアにおいて、鉄過剰症が稲作に悪影響を与えています。イネの水耕栽培で様々なレベルの鉄過剰ストレスを与え、鉄過剰レベルと生育への影響との関係を明らかにしました。また、鉄過剰処理による遺伝子発現の変化をマイクロアレイにより解析し、イネの鉄過剰応答に関わる遺伝子の候補を複数発見しました。

(4)ポプラの鉄欠乏応答に関する研究

ポプラは、低温や乾燥などの環境ストレスに強く短期間で生育するため、バイオマス生産において有用な樹木です。内モンゴル自治区の砂漠の緑化にも使われています。砂漠の土壌はアルカリ性の場合が多く、ポプラの鉄吸収能力を高めることが出来れば、砂漠の緑化により有効だと考えています。その前段階として、石灰質土壌と鉄欠乏水耕液で栽培し、ポプラの鉄欠乏時の生理応答を調べました。また鉄欠乏時に発現が誘導される鉄関連遺伝子を調べ、ポプラの鉄欠乏耐性の仕組みを明らかにしました。


論文

  26

MISC

  14

書籍等出版物

  6

講演・口頭発表等

  19

所属学協会

  1

共同研究・競争的資金等の研究課題

  4

社会貢献活動

  4