共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

ゼブラフィッシュ側線器有毛細胞を用いた内耳におけるオートファジーの役割の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K09892
体系的番号
JP19K09892
配分額
(総額)
3,770,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
870,000円

金沢大学がん進展制御研究所から提供して頂いたAutophagyライブラリー94種類を、我々が行っているゼブラフィッシュ側線器有毛細胞によるスクリーニングシステムを用いてスクリーニングし、オートファジーの内耳ストレス時の役割を解明する事で内耳有毛細胞保護薬の開発につなげたいと考えている。今までの実験では、オートファジー誘導薬をスクリーニングした結果、特にラパマイシンが優れた有毛細胞保護効果を示した。
今回我々は、より人に近い実験モデルでラパマイシンの有毛細胞保護効果の有無を確認するために、マウスの平衡感覚をつかさどる卵形嚢有毛細胞での実験を行った。コントロール群、有毛細胞を障害するネオマイシン群、ラパマイシン+ネオマイシン群の3群に分けた。卵形嚢(CBA/Nマウス)にオートファジー誘導薬であるラパマイシンを1時間曝露し有毛細胞死を誘導するネオマイシンに24時間曝露した後、培地に浮遊させてCO2インキュベーター内で培養した後に標本を作製した。この標本を蛍光顕微鏡により観察し、卵形嚢有毛細胞を観察し残存有毛細胞密度の評価をした。
結果はネオマイシン群では有毛細胞が障害され、コントロール群に比べて有毛細胞密度が減少していた。ラパマイシン+ネオマイシン群ではネオマイシン群に比べて有毛細胞が残存していることが確認された。有毛細胞残存数をカウントしグラフを作成したところ、ラパマイシン+ネオマイシン群はネオマイシン群に比べて有意に有毛細胞を保護したことが確認できた。
このことから、ラパマイシンは側線器有毛細胞だけでなく、マウスの卵形嚢有毛細胞をも保護することがわかり、人での内耳保護薬物になる事が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K09892
ID情報
  • 課題番号 : 19K09892
  • 体系的番号 : JP19K09892