2021年4月 - 2024年3月
高精度プラズマ観測と革新的解析手法を用いた地球磁気圏ミクロ乱流の発生機構の研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
プラズマ乱流は太陽風や実験室プラズマなどプラズマ宇宙に遍在する現象であり、プラズマの輸送や混合、高エネルギー粒子の出現に関わる重要な素過程であるが、その励起・発達機構はよくわかっていない。その理由の一つはプラズマ乱流が成長する現場の直接観測が容易でないことである。本研究では、太陽風と地球磁気圏の相互作用によってプラズマ乱流が励起される現場である磁気圏境界層と磁気圏尾部プラズマシートの人工衛星直接詳細観測データを最先端のデータ解析手法を用いて分析し、乱流の励起過程についての知見を得ることを目的としている。
本年度は太陽風磁場が南向きの時にMagnetospheric Multiscale(MMS)衛星によって磁気圏境界層で観測された乱流渦を分析し、これがケルビン・ヘルムホルツ不安定によって駆動されたこと、また乱流中に密度勾配を自由エネルギーとして励起されるプラズマ不安定に起因するとみられる電場擾乱が存在することを示した。この電場擾乱はプラズマの混合に寄与することが計算機シミュレーションによって示されており、太陽風磁場が南向きの条件下での太陽風の磁気圏へのプラズマ流入に役割を果たしている可能性がある。
またプラズマ乱流中のミクロスケールの二次元磁場・電子速度場構造を人工衛星直接観測のデータを用いて可視化する最先端のデータ解析手法の理論体系を電子電磁流体力学に基づいて発展させた。さらに既存のデータ解析手法を改良し、密度非一様性や電子慣性の効果を組み込むことができる数値コードを開発した。密度非一様が実際に存在している磁気圏境界層などで観測されるプラズマ乱流や磁気リコネクション現象の解析に利用できるため、より一般的なプラズマ乱流現象を理解するための強力なツールを開発することができたと言える。数値コードは出版論文とともに公開されている。
本年度は太陽風磁場が南向きの時にMagnetospheric Multiscale(MMS)衛星によって磁気圏境界層で観測された乱流渦を分析し、これがケルビン・ヘルムホルツ不安定によって駆動されたこと、また乱流中に密度勾配を自由エネルギーとして励起されるプラズマ不安定に起因するとみられる電場擾乱が存在することを示した。この電場擾乱はプラズマの混合に寄与することが計算機シミュレーションによって示されており、太陽風磁場が南向きの条件下での太陽風の磁気圏へのプラズマ流入に役割を果たしている可能性がある。
またプラズマ乱流中のミクロスケールの二次元磁場・電子速度場構造を人工衛星直接観測のデータを用いて可視化する最先端のデータ解析手法の理論体系を電子電磁流体力学に基づいて発展させた。さらに既存のデータ解析手法を改良し、密度非一様性や電子慣性の効果を組み込むことができる数値コードを開発した。密度非一様が実際に存在している磁気圏境界層などで観測されるプラズマ乱流や磁気リコネクション現象の解析に利用できるため、より一般的なプラズマ乱流現象を理解するための強力なツールを開発することができたと言える。数値コードは出版論文とともに公開されている。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K03504
- 体系的課題番号 : JP21K03504
この研究課題の成果一覧
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論文
2-
Journal of Geophysical Research: Space Physics 128 2023年3月16日 査読有り筆頭著者
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Journal of Geophysical Research: Space Physics 2021年10月22日 査読有り筆頭著者
講演・口頭発表等
3-
MR2023 Workshop on Magnetic Reconnection 2023年6月29日 招待有り