2017年4月 - 2020年3月
次世代シーケンシングを用いた動物の悪性腫瘍の病態解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
- 課題番号
- 17H03921
- 体系的課題番号
- JP17H03921
- 配分額
-
- (総額)
- 15,340,000円
- (直接経費)
- 11,800,000円
- (間接経費)
- 3,540,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究では獣医臨床において重要性の高い犬の悪性腫瘍を対象とし、次世代シーケンサーによる網羅的な遺伝子発現プロファイルおよびゲノム異常をバイオインフォマティクスを用いて解析し、その解析結果を基に腫瘍ごとの適切な治療法選択と正確な予後予測を可能とすることを目指している。
本年度は、昨年度に中心的に解析を行なっていた犬の組織球性肉腫に関して、さらに多くの症例を用いてエキソーム解析およびRNAシーケンシング解析を行なった。その結果、エキソーム解析においては全216遺伝子の変異が抽出され、これらの統計学的な解析により、特定の細胞内シグナル伝達経路に関わる遺伝子群における変異が犬の組織球性肉腫の症例に共通する可能性が見出された。また、RNAシーケンシングによって、この細胞内シグナル伝達経路に関わる受容体型チロシンキナーゼが全症例で高発現していることが明らかとなった。これらの結果は犬の組織球性肉腫において、この受容体型チロシンキナーゼから開始する細胞内シグナルが腫瘍細胞の生存や増殖に重要な役割を果たしている可能性を示唆するものと考えられる。
また犬の組織球性肉腫の約半数で認められることが明らかとなったTP53遺伝子に関しては、これまでに特定の挿入変異が38%の症例で共通して認められることを報告したが、この挿入変異の臨床的意義に関しては不明となっていた。そこで、各種臨床検査所見とこの挿入変異との関連を調べたところ、同変異を保有する症例群では有意に転移病巣を有する症例が多いことが明らかとなった。
本年度は、昨年度に中心的に解析を行なっていた犬の組織球性肉腫に関して、さらに多くの症例を用いてエキソーム解析およびRNAシーケンシング解析を行なった。その結果、エキソーム解析においては全216遺伝子の変異が抽出され、これらの統計学的な解析により、特定の細胞内シグナル伝達経路に関わる遺伝子群における変異が犬の組織球性肉腫の症例に共通する可能性が見出された。また、RNAシーケンシングによって、この細胞内シグナル伝達経路に関わる受容体型チロシンキナーゼが全症例で高発現していることが明らかとなった。これらの結果は犬の組織球性肉腫において、この受容体型チロシンキナーゼから開始する細胞内シグナルが腫瘍細胞の生存や増殖に重要な役割を果たしている可能性を示唆するものと考えられる。
また犬の組織球性肉腫の約半数で認められることが明らかとなったTP53遺伝子に関しては、これまでに特定の挿入変異が38%の症例で共通して認められることを報告したが、この挿入変異の臨床的意義に関しては不明となっていた。そこで、各種臨床検査所見とこの挿入変異との関連を調べたところ、同変異を保有する症例群では有意に転移病巣を有する症例が多いことが明らかとなった。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H03921
- 体系的課題番号 : JP17H03921