2022年4月 - 2026年3月
超新星残骸・銀河団・実験室プラズマの精密X線分光で探る「宇宙の標準光源」の多様性
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
白色矮星を親星とするIa型超新星は、宇宙の標準光源として利用されながらも、顕著な多様性があることが知られる。本研究では、X線天文衛星XRISMを用いてIa型超新星残骸と銀河団を観測し、各天体の鉄族元素質量比を測定する。これによって、個々の白色矮星の爆発時の質量および中心密度とその平均値が明らかとなり、Ia型超新星に見られる多様性の正体が明らかになる。この研究を成功に導くには、XRISMが分離するL殻共鳴輝線の実験的な原子データが必要となる。そこで本研究では、プラズマ実験装置 「電子ビームイオントラップ(EBIT)」を利用して、鉄族元素L殻遷移の波長と遷移確率を高精度で測定する。この測定は、EBITを大型放射光施設 SPring-8 のビームラインに設置して実施する必要がある。
2023年度は、繰越を行った2022年度分の計画と合わせて、ビームライン実験に備えたEBITのアップグレードを実施した。具体的には、電子ビームのエネルギーを周期的に変動させるためのファンクションジェネレータ等を実装し、ビーム実験時のバックグラウンドレベルの低減に努めた。
2023年9月にはXRISMが打ち上げに成功した。12月以降は様々な超新星残骸と銀河団の観測を実施し、鉄族元素を含む様々な重元素からの高分解能スペクトルを取得できた。関連する科学成果は間もなく論文として投稿できる見込みである。
2023年度は、繰越を行った2022年度分の計画と合わせて、ビームライン実験に備えたEBITのアップグレードを実施した。具体的には、電子ビームのエネルギーを周期的に変動させるためのファンクションジェネレータ等を実装し、ビーム実験時のバックグラウンドレベルの低減に努めた。
2023年9月にはXRISMが打ち上げに成功した。12月以降は様々な超新星残骸と銀河団の観測を実施し、鉄族元素を含む様々な重元素からの高分解能スペクトルを取得できた。関連する科学成果は間もなく論文として投稿できる見込みである。
- ID情報
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- 課題番号 : 22H00158
- 体系的番号 : JP22H00158