共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2003年

窒化物三元混晶半導体InGaNの組成均質性の定量的評価に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
14550312
担当区分
連携研究者
配分額
(総額)
2,900,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

MOVPE法によってサファイア基板上にAIN低温バッファ層を介して厚膜(>1μm)成長した窒化物三元混晶半導体1n_xGa_<1-x>Nの組成均質性を理論的・定量的に評価した。
まず、InGaNの混合不安定性を熱力学的解析および結晶配列の理論解析から検討した結果、InGaN中のGa-NおよびIn-Nボンド長は組成xによらず、お互いほとんどそのまま純粋なGaNおよびInNのボンド長を保つことがわかった。そのため、xの変化に伴う単位格子の歪は極めて小さく、xが増大しても両ボンドの個性が強く主張される結果、結晶が均質にならず、混合不安定性が大きくなることを示唆した。次に、本研究で使用したIn_xGa_<1-x>N試料の巨視的特性を、SEM像およびTED像から評価し、膜厚均一性、単結晶性を示した。また、PLスペクトルからxの増加に伴うブロードニングの増大を示した。最後にIn_xGa_<1-x>Nの組成均質性を、ラマンスペクトルの非対称形状と選択則の緩和を考慮したSpatial Correlationモデルによる相関長と関連付け、定量的に解析した。その結果、In_xGa_<1-x>NのE_2フォノンモードの低エネルギ側へのブロードニングは、Azuhataら[Physica B 219/220(1996)493]のフォノン分散関係を用いて説明できることを示した。そして、xの増加に伴う、フォノンの減衰長に相当する相関長(フォノンの振幅の広がり)の減少を示した。相関長の大きさは〜10nm程度で、Kawaguchiら[J.Cryst.Growth 189/190(1998)24]によるTEM像の柱状粒子の大きさとほぼ一致することを示した。ただし、組成均質性の影響をより強く反映すると考えられるE_<2low>フォノンについてはほとんど観測できなかった。その理由として、低い状態密度と励起光に近いエネルギのため励起光の裾野に埋もれた可能性が考えられる。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/14550312.ja.html
ID情報
  • 課題番号 : 14550312