共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2022年3月

MRSAを特異標的とするCRISPR-Cas型抗菌薬の開発研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K21671
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

2019年末からの新型コロナウイルス(SRAS-CoV-2)パンデミックで,飛沫感染する病原体による肺炎で治療薬(病原体の除去薬)がないことの懸念が周知された.ウイルスと同様に病原体の除去が困難な感染症課題として,米国で「薬剤耐性MRSA等の対策」,日本で「薬剤耐性アクションプラン」,そしてサミットと国連総会で「MRSA等の耐性菌対策」が提示され続けている.背景にあるのは,耐性菌の増加に伴い,治療困難となった感染者の死亡数が増加している現状である.一方で,国内外の医歯薬学領域では,腫瘍や再生等の分野に研究資源が集中し,耐性菌に対する新薬開発が停滞している.2019年10月時点で,本申請者が国内外の新規抗菌薬開発の特許出願ならびに論文検索を実施したところ,同開発は17のグループで進められていることが明らかとなった.しかし,それらは全てβラクタマーゼを阻害する着想であり,MRSAの耐性進化を予見すると心許ない.
そこで本研究では,CRISPR-Cas発現のプラスミドDNAを素材とすることで ① 副反応の可能性が低く,② 耐性進化に合わせ ガイドRNA配列を変更するだけで薬剤標的を変更できる簡便さに富み,③ 安価で安定な,MRSA用の新抗菌薬の開発に挑戦することとし,研究を推進している.さらに,以前に基盤B海外で採択され研究した疫学データを活用し,将来の発生が懸念される新たな耐性機構を持つMRSAまでをin vitro およびin silicoで推測し,それらに対するCRISPR-Cas型の新規抗菌薬を予測開発するAIアルゴリズムを確立することも目標とし研究を進めている.その結果として,申請2ヵ年計画の半年間で,本課題のキーとなる各種ツールを準備した.

ID情報
  • 課題番号 : 20K21671