2010年3月
早産児をもつ親の育児に対する反応に関する記述研究
椙山女学園大学看護学研究
- 巻
- 2
- 号
- 開始ページ
- 67
- 終了ページ
- 77
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)
- 出版者・発行元
- 椙山女学園大学
早産児をもつ親の育児に対する反応と不安の構造を明らかにすることを目的に、出生体重1000g〜2000g前後の早産児を養育し、NICU退院後1週間から1年の母親12名を対象に半構成的面接を行った。内容分析の結果、早産した親の育児に対する反応と不安構造として、以下の17のコアカテゴリーが抽出された。1)早産児として産んだことによる、戸惑いと負い目。2)早産児として産んだことによる、少しでも普通の子に近づいてほしいという願望。3)早産児として産んだことによる、子どもに最善を尽くしたいと思う母親としての役割遂行。4)早産児として産んだことによる、退院施設のNICUスタッフに対する対応への満足と心理的援助への期待感。5)早産児として産んだことによる、保健師に対する早産児とその母親に関する専門的学習と適切な看護ケアへの期待。6)早産児として産んだことによる、退院後の実生活から得た子どもの確かさと育児への自信獲得。7)早産児として産んだことによる、兄弟への育児配慮の変調。8)早産児として産んだことによる、自然な社会的承認への喜び。9)子どもが早産児だということを容易にぬぐい去れないことによる、先行きの不確かな子どものQOLへの漠たる恐れと育児への自信喪失。10)過去に育児経験がないことによる、自己育児能力の不足感と先行きの育児への不確かさ。11)身近の育児協力者の存在による、孤独感からの解放と育児への自信獲得。12)育児情報の利用により、深まる子どもの先行きへの精神的混乱。13)医師の価値観優先による、意思の制限と孤立感。14)過去の育児経験による、育児への自身と自己の確立。15)母子分離体験に伴う心理的分離感と自己の育児能力への不確かさ。16)退院後の実生活における愛着の深まりによる、先行きの母子分離不安。17)合併症をもつ子どもへの心理的危機としてのショック・否認・衝撃・罪責感・適応・希望的祈り。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1883-7891
- 医中誌Web ID : 2011175813
- CiNii Articles ID : 120005990770