共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

近代日本における自由主義的改革の系譜:「貿易立国」から「埋め込まれた自由主義」へ

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K01447
体系的課題番号
JP20K01447
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

2021年度においては、引き続き資料収集とその分析を行い、研究代表者の瀧口が主催するオンラインでの研究会により意見交換に努めた。
明治大正期における貿易立国、産業立国構想の形成展開を担当した醍醐と久野は次のような研究を行った。醍醐は、藩閥勢力である黒田清隆、榎本武揚に着目し、北海道地域の開発、通商発展と政治外交の関係を明らかにした。①黒田清隆の樺太放棄運動を明治政府の対立構造の中に位置付け、樺太千島交換条約への道を描いた。②初代駐露公使を務めた榎本武揚の対露貿易構想と北海道の物産との関係を検討した。また、経済都市小樽に高等商業学校を誘致する際に果たした榎本の役割や小樽港をめぐる日露貿易の推移を調査した。
久野は、日露戦前~大正政変期における犬養毅の政策構想の展開と産業立国構想への道を明らかにする研究を行った。国立国会図書館の遠隔複写サービス、図書館のILLサービスを積極的に活用し、明治・大正期の犬養毅の論説記事を読み込むとともに、犬養木堂記念館や野﨑家塩業歴史館において犬養と政治的つながりのある政治家の史料を収集・分析した。
昭和前期における新自由主義の系譜を担当した瀧口と矢嶋は次のような研究を行った。瀧口は大正・昭和初期の大阪財界と政党との関係について、雑誌新聞資料を中心に調査研究を行った。これにより、大正期において利権等を介して政友会とのつながりの深かった大阪財界において、昭和初期に自由通商運動が勃興して新自由主義的な民政党の支持基盤となる過程が明らかになった。またアメリカの対日通商政策に関する資料を購入し、解読を行った。
矢嶋は前年度にひきつづき自由主義派である芦田均の側近外交官として活動した鈴木九萬の日記の解読を進めた。その結果、三布告の撤回交渉や戦犯問題への対処といった占領最初期の日本側の動向を、当事者の一人であった鈴木の日記から跡付けることができるようになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K01447
ID情報
  • 課題番号 : 20K01447
  • 体系的課題番号 : JP20K01447