基本情報


J-GLOBAL ID
201401039487883214
researchmap会員ID
B000240957

消費社会論を専門としています。

私たちは21世紀の消費社会に生きており、現代社会では誰も「消費者」であることから離れることはできません。では、私たちの生きる社会はどのような地層の上に存立しているのでしょうか。つまるところ、「私たちはどこにいるのか」。これを、哲学的な思弁のみに頼るのではなく、普遍的な社会理論モデルで認識し、人間の行動原理を観察しつつそれを改良していくことが私の研究テーマです。

従って、このような問題意識に最も接近できる研究領域は必然的に社会理論になりますが、その範囲は狭義の社会学にとどまるものではありません。M・モース、P・クラストルなど文化人類学の知見、S・フロイトからJ・ラカンに至る精神分析運動の歴史、そして1990年代以後活発化した科学技術社会論(STS)などの知見を取り入れながら、記号的な消費社会の〈外部〉をどうやって描くのか、そこにおける抵抗がどういった形態をとりうるのかを考えています。

このことは、つまるところ、全世界で発生した〈1968〉の戦後学生運動の高揚とその後の政治的退潮、人々の脱政治化と「新中間大衆」(村上泰亮)の登場、60年代「文化革命」の社会的継承といった文化社会論な課題を引き受けたうえで、ポスト・フォーディズムへの経済変動以後の成長高原における、消費社会への人間社会の適応と抵抗の両側面を(西側福祉国家の隘路と新自由主義的政治経済体制の登場、自我の個性化と複数化を是とするアイデンティティ・モデルの登場等)記述し、その先を考えることを研究使命としています。このような理論認識をもって、「日本」という社会システムの深層を闡明にしていくことが私の研究テーマです。

方法論的には、主に批判理論とデュルケム派社会学、そして消費社会論に依拠しており、「言語論的転回」以後の社会思想をいかに更新し、実装ていくかということに興味があります。これまで研究論文で触れてきたものは、余暇理論から1980年代アイドル、いじめの発生過程、原子力発電所、戦後現代詩、ロベルト・シューマンまで多岐に渉っていますが、根底にある問題意識は通底しています。

また、研究というより社会的活動になりますが、福島第一原発事故において可視化された社会的な言葉の歪み、「行政科学」の説明をめぐる混乱の根源、自然科学界における政治従属などを分析し、市民を含めた「協同」の構築をめざしています。


主要な論文

  8

主要なMISC

  6

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  9

主要な社会貢献活動

  4