2020年4月 - 2023年3月
患者由来がんモデルを用いた肝細胞癌に対するFABP5を標的にした新規治療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
我々は、これまでの研究で肝細胞癌における腫瘍組織中および血漿中のFABP5の高発現は、独立した予後不良因子の一つであることを報告してきた。FABP5が癌細胞の増殖能や転移能を増大させることを、肝細胞癌の細胞株とそれらの癌細胞を生着させたマウスを用いて、in vitroおよびin vivoのレベルで証明した。また、FABP5はZO-1やE-cadherinの減少、N-cadherinやSnailの発現上昇をきたし、上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition: EMT)を誘導することで、予後不良を生じさせるという分子生物学的なメカニズムを明らかにした。これらの結果を踏まえた、次なる研究課題としては、FABP5の阻害作用により、腫瘍の悪性化を特徴づける増殖能や転移能を抑制することが可能であるのか否か、つまりFABP5が治療効果を有する標的蛋白質となり得るのかを検討することが挙げられる。さらに、実際に肝細胞癌に対する治療効果が立証された場合には、背景にどのような分子機構の変化があるのかについて、質量分析を始めとしたプロテオーム解析や次世代シークエンサーで網羅的に評価し、FABP5に関連するメカニズム解明と新規薬剤の創薬につなげたい。
本年度は肝癌細胞株レベルで実際にFABP5阻害薬(SBFI-26)の投与により細胞増殖の抑制効果が得られるか否かについて、FABP5の発現量に差がある4種の市販肝癌細胞株(Li-7、HLE、Hep3B、HepG2)を対象として、Cell Counting Kit -8 (CCK-8:同仁堂、日本)を用いた評価ならびにMTTアッセイを行い、増殖能の変化を調べた。また薬液濃度を行い、効果が最大となるよう調整した。結果としては100μMのFABP5阻害薬を投与した細胞株は明らかに細胞数が減少していた。
本年度は肝癌細胞株レベルで実際にFABP5阻害薬(SBFI-26)の投与により細胞増殖の抑制効果が得られるか否かについて、FABP5の発現量に差がある4種の市販肝癌細胞株(Li-7、HLE、Hep3B、HepG2)を対象として、Cell Counting Kit -8 (CCK-8:同仁堂、日本)を用いた評価ならびにMTTアッセイを行い、増殖能の変化を調べた。また薬液濃度を行い、効果が最大となるよう調整した。結果としては100μMのFABP5阻害薬を投与した細胞株は明らかに細胞数が減少していた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K07650
- 体系的課題番号 : JP20K07650