共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年8月 - 2023年3月

農業地域における技術進化の過程とメカニズム―日本の米品種の変遷を事例として―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
19K23130
配分額
(総額)
1,820,000円
(直接経費)
1,400,000円
(間接経費)
420,000円

研究課題の2年目となる2020年度は、研究対象とする諸県において、前年に遂行しきれなかった現地調査を行いつつ、育種・普及関係者および農家への聞き取りを行う予定であった。しかしながら、COVID-19の流行が本格化する中で、特に報告者が拠点とする大阪では外出自粛が要請される中、調査を行うことが困難となり、予想外の進捗の遅れが生じている状況である。
限られた機会を有効に利用するべく、2020年度は比較的近い県である岡山市に集中して調査を行った。岡山市ではの米の地方品種である「朝日」と「アケボノ」を多く作付している。国内の他の品種がより栽培の容易なコシヒカリ系品種に取って代わられる中で、これらの古い品種が存続している背景として、市内の干拓地農業における高度な生産能力が重要であることが指摘できる。具体的には、整形された農地、機械化先進地域であること、生産能力の高い農家への農地集約化などである。さらに近年では、独特の食味を持つこれらの品種が希少となり、業務米等の需要が開拓された。ただし、これらの事柄については、とくに農協や農政担当者、農家への聞き取り等によって裏付けを行う余地が残されている。
また、岡山県は全国有数の農業機械産業の集積地でもあり、これら企業の集積のメリットが農業のスマート化などあらたな農業イノベーションの推進に寄与している可能性もある。こうした点も旧品種存続のファクターとして重要となるかもしれず、本研究課題の視点を発展させる材料として検討する価値があると考えられる。

ID情報
  • 課題番号 : 19K23130