共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2010年

鳥類個体群間における歌への生得的な学習選好性とその神経基盤の比較

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
09J10622
体系的課題番号
JP09J10622
配分額
(総額)
2,000,000円
(直接経費)
2,000,000円

鳥類の歌は、学習によって獲得される音声である。歌学習には生得的な鋳型に存在し、学習に重要な役割を果たすと考えられている。では生得的な鋳型は歌特徴のどの部分に寄与するのだろうか。本研究では、歌鋳型が歌学習にどのように寄与するか検討するために、歌から隔離すると変化する歌特徴、保持される歌特徴を明らかにした。また、歌特徴の異なる近縁な2種(コシジロキンパラとジュウシマツ)の歌鋳型を比べた。隔離飼育個体の歌と通常飼育個体の歌を比較した結果、周波数の平均値は両者で違いはなかった。しかし、いくつかの歌特徴で隔離個体の歌の方が通常個体よりもばらつきが大きかった。隔離した歌を種間比較すると、歌特徴の平均値には差はなかった。しかし、ピッチのばらつきがコシジロキンパラの歌の方がジュウシマツよりも大きかった。隔離歌のほうが、通常飼育の歌よりもばらつきが大きくなった。しかし、周波数の平均値などは、隔離しても保たれていた。生得的な鋳型は、自種における歌学習範囲を緩やかに限定していた。一方で近縁な2種での比較では、ピッチの変動に関して種差が見られた。この結果から、近縁な2種間でも歌鋳型の特徴が異なる可能性を示唆する。ジュウシマツは、コシジロキンパラを家禽化した種である。野生下では、他個体と歌を共有することが適応度に関係することがある。野生種は、近隣の個体の歌を忠実に学ぶために、家禽種に比べ可塑的な歌鋳型を保持しているのかもしれない。我々の研究は、鳥の歌学習のメカニズムを検討する上で重要な結果を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09J10622
ID情報
  • 課題番号 : 09J10622
  • 体系的課題番号 : JP09J10622