共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年4月 - 2009年9月

ペーパー構造を非平衡反応場とする新規な構造体触媒材料の機能設計

日本学術振興会  特別研究員DC1/PD(2009.10-2010.3)  特別研究員奨励費

課題番号
07J08808
体系的課題番号
JP07J08808
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

近年、触媒材料開発において、触媒周辺の物質・熱移動を司るマイクロ構造担体の重要性が認識されつつある。本研究では、抄紙技術の応用により、無機繊維ネットワークから成るマイクロ空隙構造体内(平均細孔径約20μm・空隙率約50%)に触媒粉末を分散担持した高性能な座ペーパー構造体触媒」の開発を行ってきた。これまでに、メタノール改質反応における主反応の高効率化・副反応の抑制・触媒耐久性の向上・反応挙動の安定化等の現象を見出しているが、今回詳細に検討したところ、平均細孔径約20μmに整ったペーパー構造体が良好なガス流路となり、理想的な触媒反応場として機能する「ペーパー構造効果」が強く示唆された。
金属ナノ粒子は、バルク金属とは大きく異なる特殊な物性・機能を示すことから、バイオ・触媒・エレクトロニクスなど様々な研究分野において注目を集めているが、凝集しやすく取り扱いが困難なことが問題となっている。本研究では、酸化亜鉛(ZnO)繊維を金属合成の足場として機能利用することで、取り扱い容易なペーパー構造担体内部に抄き込んだZnO繊維上で金属ナノ粒子を直接合成することに成功した。本手法は数多くの金属種に応用可能であり、これまでに、水素製造用銅ナノ粒子担持ペーパー、排ガス中のNOx還元除去用白金ナノ粒子担持ペーパー、低温CO酸化用・4-ニトロフェノール還元用金ナノ粒子担持ペーパーを開発した。各触媒プロセスにおいて、高活性な金属ナノ粒子と触媒の実効性能を大幅に高めるペーパー構造体の組み合わせが極めて有効であることが示された。また、抗菌用銀ナノ粒子担持ペーパーの開発にも成功している。ペーパー構造体に金属ナノ粒子を直接合成する「オンペーパー合成」技術はナノ粒子の機能を全く損なうことのない新規な固定化技術であり、更なる応用展開に期待が持たれる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07J08808
ID情報
  • 課題番号 : 07J08808
  • 体系的課題番号 : JP07J08808