Misc.

2012

新旧GDM診断基準による周産期合併症発現率の変化.

糖尿病と妊娠
  • 延本悦子
  • ,
  • 沖本直輝
  • ,
  • 井上誠司
  • ,
  • 瀬川友功
  • ,
  • 増山 寿
  • ,
  • 平松祐司
  • ,
  • 杉山 隆
  • ,
  • 日下秀人
  • ,
  • 豊田長康

Volume
12
Number
1
First page
50
Last page
53
Language
Japanese
Publishing type
Publisher
(一社)日本糖尿病・妊娠学会

International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)がHAPO studyをもとに決定した世界統一の妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus(以下GDMと略す)診断基準を発表し、わが国においても26年ぶりの大改定がなされ、2010年7月より新GDM診断基準の使用が開始された。GDMの頻度は約4倍に増加し、今後の妊娠管理において非常に重要なものになると考えられる。今回、新GDM診断基準採用による周産期合併症の発現率の変化につき検討した。糖耐能異常に特異的な周産期合併症について検討すると、すべての周産期合併症は、新GDM群で数の増加を認めた。新GDM群と旧GDM群の比較では、低カルシウム血症、肥厚性心筋症(JAGS trialの表記による)、NICU入院でのみ有意差を認め、他の合併症では差を認めなかった。これは、旧GDM診断基準の方が新GDM診断基準より厳しいためと考えられる。新GDM群の中にも、周産期合併症を起こす症例が多く認められた。周産期合併症のうち主要な巨大児、低血糖、胎児奇形、妊娠高血圧症候群(以下PIHと略す)について検討すると、それぞれ75gOGTTの1ポイント異常であっても発症しており、新基準による妊娠管理は重要と考えられた。PIH症例の検討では、BMI 25kg/m2以上の肥満症例が多く、PIH、GDM、肥満の関連性が示唆され、肥満症例では積極的に介入する必要があると考えられた。妊娠中は耐糖能異常を発見するうえで絶好の機会であり、これらに介入し治療することは周産期合併症減少だけでなく、将来の母児の糖尿病予防、メタボリックシンドローム予防、さらには医療経済的にも意義があると考えられた。(著者抄録)

ID information
  • ISSN : 1347-9172
  • Ichushi Web ID : 2012370461

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