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2017

胎児完全房室ブロックに対してデキサメタゾン内服と塩酸リトドリン点滴にて治療を行った抗SS-A抗体陽性初産婦の一例.

現代産婦人科
  • 三島桜子
  • 玉田祥子
  • 岡本和浩
  • 谷 和祐
  • 牧 尉太
  • 江口武志
  • 光井 崇
  • 衛藤英理子
  • 早田 桂
  • 増山 寿
  • 平松祐司
  • 沖本直輝
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Volume
65
Number
2
First page
223
Last page
227
Language
Japanese
Publishing type
Publisher
中国四国産科婦人科学会

抗SS-A抗体陽性母体児に房室ブロックが生じる確率は1〜7.5%と報告されており、適切な治療がなされなければ胎児死亡となってしまう症例も少なくない。今回我々は、胎児完全房室ブロックに対し、塩酸リトドリン点滴とデキサメタゾン内服にて胎児の心不全予防を行った一例を経験したので報告する。症例は27歳、0経妊0経産。妊娠24週の健診時、胎児徐脈および心嚢液貯留を認め、精査目的に前医を紹介受診した。心室拍数60bpm、心房拍数120-130bpmの完全房室ブロックを認めたため、入院し胎児心拍数改善目的に塩酸リトドリン持続点滴を開始した。また母体の抗SS-A/SS-B抗体陽性が判明し、デキサメタゾン4mg/日内服も開始した。妊娠30週より新生児治療を含めた周産期管理のため当院転院となった。入院時超音波検査では、胎児推定体重1839g(+1.7SD)、心室拍数65bpm、心房拍数120bpm、心胸郭比34%、左室収縮率60%で、心嚢液はごくわずかに貯留していたが、胎児水腫は認めなかった。デキサメタゾン内服と塩酸リトドリン点滴を継続し、心室拍数70bpmとわずかに改善し心嚢液貯留はほぼ消失した。しかし母体に塩酸リトドリンに対する薬疹が出現し投与を中止したところ、胎児心室拍数は次第に減少し55bpmを下回るようになり、心嚢液も増悪した。イソクスプリン持続点滴を開始し再び55bpm以上まで改善したが、早期娩出が望ましいと判断し35週6日に選択的帝王切開にて分娩に至った。出生児は男児、2413g、Apgar score 7/8(1分値/5分値)、臍帯動脈血pH7.384であった。出生時心拍60-70bpmの徐脈であり、イソプロテレノール点滴による加療を行ったが改善を認めず、日齢68に恒久的ペーシング埋め込み術を施行され、日齢91に退院となった。胎児完全房室ブロックを発症した場合、徐脈性心不全への進行を予防することが重要であり、胎児心拍数が55bpmを下回った場合胎児死亡となる可能性がある。本症例では、ステロイド内服とβ刺激剤点滴にて胎児徐脈の改善および心不全への進行を予防し、妊娠期間を延長することができた。(著者抄録)

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URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2017&ichushi_jid=J05038&link_issn=&doc_id=20170612460017&doc_link_id=40021231486&url=https%3A%2F%2Fci.nii.ac.jp%2Fnaid%2F40021231486&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_1.gif
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ID information
  • ISSN : 1882-482X
  • Ichushi Web ID : 2017281211

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