共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

多剤併用のホウ素薬剤によるBNCTへ向けて

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K09176
体系的課題番号
JP21K09176
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、標的となる悪性腫瘍細胞へホウ素薬剤を導入させ、同部位に中性子を照射し、ホウ素と中性子の核反応により腫瘍細胞を殺傷する細胞レベルのがん治療法である。そのため、治療成功の鍵は、腫瘍細胞選択的にホウ素薬剤を取り込ませる点に大きく依存する。現在のBNCT使用のホウ素薬剤は、アミノ酸(Phe)にホウ素(10B)を付けたBPA(Borono PhenylAlanine)1剤である。癌高発現のアミノ酸輸送体(LAT-1)を介して腫瘍細胞内部へ導入されるが、その取り込みは腫瘍組織内で不均一であり、取り込みのない腫瘍細胞よりの再発が問題である。
今回我々は、悪性神経膠腫予後不良疾患にて高発現のグルコース輸送体(GLUT)に着目し、GLUTを介しての腫瘍特異的な取り込み能を有する新たなホウ素薬剤の(糖ホウ素製剤)開発に成功した。同時に腫瘍組織の遺伝子解析にて、ホウ素薬剤の標的遺伝子を新たに探索・決定した。悪性脳腫瘍と並んで予後不良である膵癌にてGLUT高発現であることを発見して、本薬剤の投与を行い評価を行ってきた。今後、複数のホウ素薬剤(糖-ホウ素薬剤+BPA併用)を用いた新規プレシジョンBNCTへの前臨床研究を本シーズにて行う。
悪性脳腫瘍の細胞株を数種類用意するのと同時に、CCLE(Cancer Cell Line Encyclopedia)と呼ばれる細胞株に関するデータベースを用いた遺伝子解析を行った。がんにおいては、アミノ酸対処が亢進していることが有名であるが、糖の代謝が亢進していることも知られている。糖は、グルコース輸送体と呼ばれる細胞膜にある関門より通過して細胞内に導入され、利用される。今回、がんに高発現しているGLUT1,GLUT3が、悪性脳腫瘍細胞株にて高発現していること、さらに膵がん細胞においても同様な高発現があることが解析の結果判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K09176
ID情報
  • 課題番号 : 21K09176
  • 体系的課題番号 : JP21K09176

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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