基本情報

所属
帝京大学 薬学部 教授
(兼任)大学院医療データサイエンスプログラム 教授
学位
博士(薬学)(東京大学)

J-GLOBAL ID
201401009757451340
researchmap会員ID
B000241719

外部リンク

離巣性の鳥に見られる刷り込みは、親子間の社会的な愛着を形作る上で必要な過程であり、感受性期、あるいは臨界期とよばれる孵化後最初の数日間に限定して起こることが知られています。刷り込みは早期学習の一つであり、未熟なヒナにとって、母親からの保護を確実に受けながら生きていくために必須の学習です。私たちは、甲状腺ホルモン(3,5,3’-トリヨードチロニン, T3)が、感受性期の開始を決定するホルモンであることを発見しました。刷り込み学習のトレーニングを開始すると、直ちに血中を循環している血漿チロキシン(T4)が、大脳を取り巻く血液脳関門に存在する血管内皮細胞に取り込まれます。T4は血管内皮細胞内のDio2(ヨードチロニン脱ヨウ素酵素タイプ2)によってT3に変換され、脳内に急激に流入します。このようにして脳内へ放出されたT3は、非遺伝子的な作用によって刷り込み感受性期の扉を開き、一週間以上延長させます。興味深いことに、この状態を経ると刷り込みのみならず、他の学習の習得効率が大幅に上昇します。さらに刷り込み学習をさせず、感受性期が閉じてしまったヒナに対しても、外からT3を注射することでヒナを刷り込むことができました。私たちの知見は、T3が刷り込みの感受性期の開始を決定し、その後の学習に極めて重要な役割を果たすことを示しています(Nature Communications 3, 1081 (2012))。


主要な論文

  73

主要なMISC

  38

共同研究・競争的資金等の研究課題

  23