共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

中世やまと絵屏風の光輝表現についての技法再現研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K00209
体系的課題番号
JP18K00209
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究では、中世やまと絵屏風に用いられた光り輝く絵画材料の表現技法について分析を行い、復元図を作成することによって中世独特の光輝表現を再現することを目的としている。中世、特に室町時代を中心に現れたやまと絵屏風は「みがきつけ屏風」と呼ばれ、雲母の地色に金銀箔で撒きつぶされた大きな雲霞が画面を装い、屏風全体が光り輝く素材に満ちている。これまで筆者が培ってきた金銀技法研究と、中世やまと絵屏風や絵巻に登場する画中画屏風の調査に加えて、表現が類似する料紙装飾技法を複合的に検証し、技法を再現することによって、近世以降に忘れられた中世やまと絵屏風の高度な装飾性をよみがえらせたい。
中世やまと絵屏風の光輝表現再現に欠かせない要素として、特に雲母地に着目した。現存する多くのやまと絵屏風は雲母地に金銀を撒き潰した「みがきつけ屏風」となっている。ところが、絵巻物には雲母地に青い雲霞がたなびく、実にやまと絵らしい風情の屏風や襖も少なからずある。しかしながら、このような雲母地に青い雲霞の現存する中世の屏風はほとんどない。そこで、雲母地を全面的に活かした表現として良く取り上げられる「石山寺縁起絵巻」画中画の「浜松図屏風」を復元することに照準を定めた。同時に、その他の東博本と個人蔵本「浜松図屏風」のみがきつけ技法も再検証し、雲母地と金銀箔の技法的な相関性も検討を加える。
雲母地は近世資料から「糊地」と呼ばれていたことが判る。現在でもそのように呼ばれることがあり、その実技検証として扇師の木田雅之氏から糊地の技法の手ほどきを受けた。扇の地塗りには文字通り糊(正麩糊)に雲母を混ぜて塗布されていることや、滲みどめを兼ねていることが判った。また磨くことも示唆されている。また雲母の用い方として、「遊行上人絵巻」画中画から群青に混ぜている可能性も見出された。実際にいくつか試作を試み、「雲母群青」の効果を確かめた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K00209
ID情報
  • 課題番号 : 18K00209
  • 体系的課題番号 : JP18K00209

この研究課題の成果一覧

論文

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MISC

  1

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  2
  • 阪野 智啓, 中神 敬子
    シンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」京都工芸繊維大学60周年記念ホール 2024年1月6日
  • 阪野 智啓, 岩永 てるみ, 安井 彩子
    シンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」京都工芸繊維大学60周年記念ホール 2024年1月6日

社会貢献活動

  1
  • 講師, 企画, 実演
    愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所・京都工芸繊維大学 展覧会「よみがえる中世屏風ー京洛の祝祭、白砂青松の海ー」 2024年1月23日

メディア報道

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