MISC

2017年12月

情報環境から脳の健康に迫る新たな戦略 「情報医療」の可能性

日本病態生理学会雑誌
  • 本田 学

26
3
開始ページ
36
終了ページ
41
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本病態生理学会

脳は化学物質によって作動する臓器の一つであり、シナプス伝達を主たる基盤とする情報処理過程も化学反応に他ならない。すなわち脳では「情報と物質の等価性」の原理が成り立つ。物質環境が健康に及ぼす影響は、有害物質(あってはならないもの)と必須栄養(なくてはならないもの)が厳密に客観的指標で記述されているのに対して、情報環境が健康及ぼす影響については、有害情報については一定の検討が始まってはいるものの、なくてはならない情報=必須情報は、その概念自体、現代医療の検討の俎上にのぼった形跡が認められない。私たちは、物質世界のビタミンと同じように、情報世界にも生存に欠かすことのできない必須情報要因が存在するという仮説のもと、人間生存に必須でありながら現代都市環境に不足している情報要因の候補を探索するとともに、先端メディア技術をもちいてそれらを環境に補完する情報環境エンリッチメントによって、人間生存にポジティブな効果を導く新しい健康戦略「情報医療」の開発を目指した基礎研究と臨床研究を並行して行っている。(著者抄録)

ID情報
  • 医中誌Web ID : 2018121747

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