共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

満洲語文献に基づいた東アジア言語文化史研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K00578
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

荒木(代表者)は主に、昨年度末にイギリス・大英図書館で閲覧および全文を写真撮影した『西廂記』の満文訳本 Tuwancihiyame dasaha si siyang gi bithe の本文の研究を進めた。『満文西廂記』諸版本の体系を全体的に把握することを目的とし、他の版本と満文訳の比較を行っている。この他、関連作品として位置付けている『満漢並香集』の第三章訳注を発表した。
鋤田(分担者)は主に、満文資料における漢字音表記を通して中国北方語音に対する研究を行った。対象資料としては『大遼国史』、『満漢西廂記』、『御製増訂清文鑑』であり、異なる年代の資料を取り上げることにより、通時的な変化の把握に努めた。また、北京大学中関新苑で行われた研究会に参加し、漢字音の満洲字表記についての総合的な発表を行った。
大野(分担者)は、主として昨年度までに北京・天壇に収蔵されている滿漢合壁形式の御神体についての研究を進めてきた。既存の先行研究では観られない言語資料の新たな発見によって、御神体本文の研究を主眼としながらも、収蔵状況から明清時期の為政者は想定以上にデリケートに扱っており、中国伝統思想の継承発展に努めていたことが明らかとなった。
小松原(分担者)は、『乾隆朝満文寄信档訳編』収録のチベット仏教ゲルク派の高僧でチベット政府の摂政を務めたガワン・ツルティムに関する満文档案を用いて、乾隆帝の対チベット仏教認識と乾隆後期の対チベット政策との関係を分析した。同時に、ガワン・ツルティムと北京のチベット仏教世界との関係を解明し、その成果を12月第5回清代言語接触研究会において報告を行った。

ID情報
  • 課題番号 : 19K00578

この研究課題の成果一覧

論文

  6

講演・口頭発表等

  3