2021年7月
【新型コロナウイルス1年を振り返って】ワクチンの接種体制の問題点
臨床とウイルス
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- 巻
- 49
- 号
- 3
- 開始ページ
- 112
- 終了ページ
- 118
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本臨床ウイルス学会
ワクチンは、感染症対策の一次予防として重要である。日本では、過去にも、ポリオワクチン、新型インフルエンザワクチンが、臨時接種として行われた。新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは、過去とは異なる新たな技術で開発製造され、また、過去の臨時接種の経験がない自治体職員が接種体制を構築することとなった。厳格な温度管理の必要性、供給量の予測がむずかしいことは体制整備上困難な点であった。加えて、ソーシャルネットワークシステム(SNS)の発達により為政者の発言が即時に国民に伝わることが、接種体制整備上負荷になる側面と、よりよい体制整備に役立つという相反する側面がみられた。予防接種履歴の保存においては、IT技術が活かされた面と複数のシステムが作業進捗を阻害する面があった。自治体の住民接種に加え大企業や大学の職域接種が始まり、接種スピードが加速することが期待されている。つぎの課題は、住民接種や職域接種につながりにくい人々への予防接種を促進することである。つぎのパンデミックに備え、平時から予防接種体制を学習する機会を作ることが重要であるとともに、今回の経験をレガシーとして伝承していくことが重要である。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0303-8092
- 医中誌Web ID : V908240005