共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年7月 - 2024年3月

縄文人の農地開拓の歴史を鍾乳石と土から読み解く

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
21K18393
体系的課題番号
JP21K18393
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

人類活動による環境改変の痕跡を紐解くため、鹿児島県徳之島、岐阜県郡上市、静岡県浜松市で、石灰岩地域の涵養地に発達する土壌の掘削調査をおこない、植生変遷や環境変動記録を保持する可能性のある土壌サンプルを採取した。土壌の掘削はスコップと、手動式のハンドーオーガーでおこない、土壌表層からおよそ5cmごとの記載、サンプリングをおこなったが、いずれの地点でも、人為的植生改変の強い証拠となる黒ボク土は発見できなかった。
徳之島では、土壌が薄いために、十分な試料を得ることができなかったが、土壌に代わる植物ケイ酸体の保持媒体として、開放環境で土壌粒子を取り込みながら形成する、河川成陸域炭酸塩岩のトゥファに着目し、年縞構造の認定や複数地点間の対比をおこなった。土壌、またはトゥファ中より得られる植物ケイ酸体化石との対比のため、南西諸島特有の栽培植物であるサトウキビやバナナのほか、アダンなどの自生植物の組織を採取し、酸や電気炉を用いた灰化処理による、植物ケイ酸体の剖出もおこなっている。
人為的環境改変のバックグラウンドとなった、本邦陸域における古気候変動史の復元もまた、本研究の重要な主眼の一つである。当該年度は、岐阜県大滝鍾乳洞から採取された石筍の安定酸素同位体・炭酸凝集同位体組成から、アジアモンスーンの変化と関連した、過去の陸上平均気温と降水の酸素同位体比の推移を復元し、学術論文を作成した。本論は国際誌への投稿・査読を経た後、修正の上で再投稿をおこない、再査読中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K18393
ID情報
  • 課題番号 : 21K18393
  • 体系的課題番号 : JP21K18393