2018年4月 - 2021年3月
社会経済ビッグデータに基づく幹線交通網整備効果検証手法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
2019年度は幹線旅客純流動調査の完成を待ってモバイル空間統計データを入手して,これらのデータを比較するための特性把握手法の開発に努めた.その結果,本研究では主に2つの研究成果が得られた.一つは,異なる調査手法から得られる都市間流動の比較について,非負値行列委因子分解により,共通する特徴と異なる特徴に分解する手法である.この手法は,Canh Do研究員との共同執筆にて,EASTSに投稿したところ,優れた論文としてAsian Transport Studiesへの掲載が推薦され,採択された.もう一つは,ベースとなる調査データに対して比較対象する調査データがどの程度共通で,どの程度異なっているかを明らかにする手法である.こちらは多重ナップサック問題として定式化し,ベース調査データから得られる基底が比較調査に占める割合を算出する手法である.本手法は,第33回応用地域学会にて発表を行い,会場との質疑において類似手法との比較を丁寧に行うべきとのアドバイスを受けた.現在査読付きの英文雑誌に投稿準備中である.昨年開発した「統計的因果探索」による道路のストック効果(交通アクセシビリティ変数の効果)の計量的な分析手法については,土木学会論文集に投稿した.その結果,査読者からの質疑を経て採択された.また研究分担者も,純流動調査ビッグデータからの特徴抽出手法の開発やネットワーク計画論に関する論文を投稿し,それぞれ査読付き論文として採択されている.次年度以降に両者を統合した分析手法の開発を目指す予定である.
- ID情報
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- 課題番号 : 18H01560
- 体系的課題番号 : JP18H01560