講演・口頭発表等

招待有り
2018年9月4日

HIV-1感染細胞内動態に関わる宿主タンパク質の同定および機能解析

第20回白馬シンポジウム
  • 武内 寛明

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(招待・特別)
開催地
鹿児島

病原体と宿主が織りなす感染現象は、病原体因子と宿主因子との機能的均衡により成り立っており、HIV-1感染現象も例外ではない。HIV-1感染直後にキャプシド(CA)タンパク質によって形成されるCAコア構造体の崩壊バランスを保つことは、逆転写反応効率の維持に必須であり、この崩壊バランスの制御には宿主側要因が必要不可欠であると考えられている。我々は、HIV-1感染直後のCAコア構造体を認識しCA-149番目のセリン残基(CA-S149)を「段階的」にリン酸化することでコア構造体崩壊を制御する宿主リン酸化酵素MELKを同定し、CA-S149のリン酸化がコア構造体崩壊の引き金の一つであることを明らかにした。また、宿主Importin 7(IPO7)タンパク質は、逆転写反応後のウイルスDNAを含むHIV-1複合体の核内移行プロセスに関与する宿主側要因の一つであると報告されているが、統一見解を得るまでには至っていないのが現状である。本発表では、HIV-1複合体の核内移行プロセスにおいて、IPO7ではなくimportin-/karyopherin subunit beta 1 (KPNB1)が新たな宿主側要因として関与することを明らかにしたので報告させて頂くとともに、新たに同定した逆転写反応過程に関与する宿主側要因についても報告させて頂きたい。