2018年3月
J-PARCの高強度パルス核破砕中性子源の現状
Plasma and Fusion Research (Internet)
- 巻
- 13
- 号
- Sp.1
- 開始ページ
- 2505013\_1
- 終了ページ
- 2505013\_8
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
大強度陽子加速器施設(J-PARC)のパルス核破砕中性子源は、以下に示す独自の特長を有するモデレータを用いて高強度かつ幅の狭いパルス状の冷中性子を供給している。独自の特長とは、(1)100\%比率のパラ水素を用いることでピークが高くテイル成分の低い中性子パルスをつくる、(2)直径14cm、高さ12cmの円筒形状とすることで、50.8$^{\circ}$という広い取り出し角度範囲で高強度の中性子を利用できる、(3)銀-インジウム-カドミウム合金製の中性子吸収材を使用し、幅が狭く、テイル成分の低い中性子パルスをつくる、というものである。実際、低出力運転時の測定によって、1MWの運転時には、結合型モデレータで4.5$\times$10$^{12}$n/cm$^{2}$/s/srの中性子束が得られ、ポイズン型モデレータを使用する中性子実験装置(BL08)では$\Delta$d/d 0.035\%の優れた分解能が得られることを確認した。ここで、dは結晶試料内のある方向の格子面と中性子の入射方向とのなす角度に垂直な方向の面間隔を意味する。1MWで年間5000時間の運転を行うという目標の達成に向けて、現在、微少気泡を水銀ターゲットに注入し、ターゲット容器に生じるキャビテーション損傷を抑制する技術開発やターゲット容器構造を溶接部やボルト接続をできるだけ減らす設計改良を行っている。
- ID情報
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- ISSN : 1880-6821