基本情報

学位
博士(理学)(2004年7月 東邦大学理学部)

研究者番号
60532679
ORCID iD
 https://orcid.org/0000-0002-2720-9125
J-GLOBAL ID
201801009302490975
researchmap会員ID
B000306817

 昨今,盛んに多様性,diversityの重要性が唱えられていますが,40年以上前,大学で学んでいた生物学の分野では既にdiversityは当たり前の概念でした。ダーウィンが『種の起源』を発表するまでの過程で,膨大な生物サンプルを観察し,そこにdiversityが存在することを強調していました。

 一卵性双生児の指紋が異なることは遺伝子が完全無二の決定因子ではないことを示しており,遺伝子と環境により決定される多様性,diversityが生物生存に極めて重要であることがわかります。即ち,もし同一遺伝子を有する細胞,個体の表現型が均一であったとしたら,その集団は全てが生存するか,全てが死滅するかのどちらかになります。しかし,地球上には昆虫だけでも100万種以上が存在し, 細菌を含むその他の未確認の種を合わせれば全体でどれだけ多様な生物種が存在するか計り知れません。これは,遺伝子が均一,あるいは非常に類似していても個々の細胞,個体の表現型に多様性があり,あるものは死滅しても,別のものは生存してきたからでしょう。何万年,何億年にわたるその過程で,少しずつ遺伝子が変化し,新しい種が生まれ,さらに多様性,diversityが拡大したと考えられます。

 新型コロナの流行において,あたかも人類が絶滅するのではないかと思うほど恐怖を煽るプロパガンダと派手な(ではあるけれどもあまり役に立たない)感染対策が世界中で広がりました。しかし,同じ環境にいながら,ワクチンを接種しても,マスクをしても(何度も)感染・発病する人と一度も感染しない人たちがいます。これはまさに感染するコロナウイルスと感染宿主個体の両方に多様性が存在するからです。

 我々,Homo sapiensは地球上に存在する生物の1種に過ぎず,極めて多様な生物種で構成される生物圏の中で生存を許されていることを自覚して,自ら霊長と名乗るのに相応しい振る舞いで生物圏に恩返しすることを目指したいものです。


学歴

  2

論文

  126

MISC

  155

主要な書籍等出版物

  5

講演・口頭発表等

  130

共同研究・競争的資金等の研究課題

  3