共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

FKBP12の腎糸球体上皮細胞における機能の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K15996
体系的課題番号
JP18K15996
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

腎臓におけるFKBP12の発現と局在を明らかにするため、ラットの腎臓と単離糸球体、ヒトおよびマウスの培養ポドサイトを用いてRT-PCR法、Western blot法、免疫染色法による解析を行った。FKBP12は腎臓内では皮質、髄質に比べて単離糸球体で高い発現量を示した。FKBP12特異的な抗体を作製し、免疫染色によってFKBP12は腎臓では糸球体と一部の尿細管で発現する事を明らかにした。また、糸球体内の各細胞のマーカー分子とポドサイト関連分子群との二重染色によって、糸球体内でFKBP12はポドサイトに限局して発現し、ポドサイトの細胞質足突起に局在する事を明らかにした。更に、ヒトおよびマウスの培養ポドサイトにおいてFKBP12はアクチン細胞骨格に沿って発現する事を明らかにした。
また、発達段階の糸球体の免疫染色から、糸球体形成期からFKBP12はNephrinと共局在し、ポドサイトに限局して発現する事を示した。
次に、いくつかの実験的なネフローゼ症候群モデルの糸球体と傷害を誘導したヒト培養ポドサイトを用いて、同様にRT-PCR法、Western blot法、免疫染色法による解析を行った。糸球体におけるFKBP12発現はスリット膜特異的傷害モデルでは減少しないが、微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) と巣状糸球体硬化症 (FSGS) モデルでは病態ピーク時に減少する事を明らかにした。更に、アドリアマイシン (ADR) 添加と無血清培養によって傷害されたヒト培養ポドサイトにおいてもアクチン細胞骨格に沿って発現するFKBP12が減少する事を明らかにした。
これらの結果から、FKBP12は糸球体内ではポドサイトのアクチン細胞骨格近傍に強く発現し、ネフローゼ症候群の傷害されたポドサイトにおける細胞骨格の再構成にFKBP12発現の変化が関与している可能性を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K15996
ID情報
  • 課題番号 : 18K15996
  • 体系的課題番号 : JP18K15996

この研究課題の成果一覧

論文

  5

講演・口頭発表等

  17