聴覚ディスプレイは実収録あるいはレンダリングされた音空間の情報・コンテンツを両耳に与えるためのシステムである.聴覚ディスプレイの構成法はいくつかあるが,一般家庭での利用も想定し,システムのコストパフォーマンスを考慮した場合,ヘッドホンを用いたバイノーラル提示法が有望である.これまでの聴覚ディスプレイは,ネットワークを使用したシステムの検討は行われず,スタンドアローン型の検討に留まっていたが,臨場感コミュニケーションのアプリケーションで活用するためには,ネットワークを介したシステムの検討を行う必要がある.そこで本報告では,音空間のレンダリングを行う専用サーバと,Android端末を使用したクライアントからなる聴覚ディスプレイシステムを試作し,遅延を測定することでシステムの有効性を確認した.