論文

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2004年

(和訳)フィリップモリスから学ぶ:米たばこ企業の内部文書にみられる、たばこ健康害の証拠に関する日本たばこの戦略

Lancet
  • Iida, K
  • ,
  • Proctor, R.N

363
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1820
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1824

Lancet (2004) の和訳版。本論文で使用した内部文書の最新リンク(2019年4月時点)を脚注に入れました。

日本では、第二次大戦後に喫煙率が急上昇し、それに伴い、現在、たばこ関連疾患による死亡率が急増している。20 世紀の大半において、日本のがんによる死亡原因第一位は胃がんだったが、1993 年に肺がんが胃がんを追い抜いた。日本では喫煙が肺がんの主原因であるが、政府が株式の2/3 を保有している日本たばこ産業(JT)は、たばこが疾病と死亡の大きな原因であるかどうかについて疑問を呈し続けている。日本の法廷には企業の内部文書を開示させる制度がないため、たばこと健康に関するJT の戦略について立証するのは困難である。しかし、オンラインアーカイブに保存されているアメリカのたばこ会社の内部文書によれば、JT は、喫煙による健康リスクについて長年知りながら、効果的なたばこ規制を妨害してきたことが明らかである。
1980 年代半ばからは、アメリカのたばこメーカーとしばしば協力することで、このような妨害活動を進めてきた。〔アーカイブの〕証拠文書は、特に、フィリップモリスが、喫煙と健康に関するJT の対策や発表に対し助言、時には指導したこともあることを示している。JT の前身である専売公社が出版した論文のデータにおいて、報告された有害性指標値(空気中のニコチン濃度)が故意に低く変えられたという事例もある。国際協力により、JT を含むたばこ企業にとって、効果的な反禁煙(anti-antismoking)戦略の展開がより容易になっている。他の国々でも訴訟が始まれば、このような国際的な企業間協力の実態を明らかにする証拠が今後増えていくであろう。

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URL
http://id.nii.ac.jp/1013/00005369/ 本文へのリンクあり

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