OTC医薬品に対するドーピング防止対策を模索するために,OTC医薬品を販売する機会が多い登録販売者を対象にアンチ・ドーピング活動の実態調査を行い,薬剤師と比較検討した.自らの職業がアンチ・ドーピング活動に寄与する業種である認識は登録販売者群,薬剤師群ともに高かった.アンチ・ドーピングを意識したOTC医薬品の販売経験は登録販売者群の方が薬剤師群よりも有意に高かった.ドーピング違反リスクが高い指定第2類一般用医薬品の選択率も登録販売者群の方が薬剤師群よりも有意に高かった.また,スポーツファーマシストのような登録販売者の認定制度の必要性については登録販売者の53%が「ドーピング防止のための知識は必要であるが,認定制度までは必要ない」と回答した.本調査により,登録販売者はOTC医薬品に対するアンチ・ドーピング活動に必要な知識や認識を持っており,薬剤師と同様にOTC医薬品に対するアンチ・ドーピング活動が担える業種であることが示唆された.(著者抄録)