MISC

2016年12月

Thromboelastometry(ROTEM)を用いて急性期の輸血管理を行った内胸静脈損傷の一例

九州救急医学雑誌
  • 小網 博之
  • ,
  • 阪本 雄一郎
  • ,
  • 太田 美穂
  • ,
  • 後藤 明子
  • ,
  • 今長谷 尚史
  • ,
  • 八幡 真由子
  • ,
  • 三池 徹
  • ,
  • 永嶋 太
  • ,
  • 岩村 高志
  • ,
  • 井上 聡

15
1
開始ページ
7
終了ページ
10
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本救急医学会-九州地方会

症例は76歳女性で、交通事故で当院にドクターヘリ搬送された。来院時、右肩から左前胸、右下腹部にシートベルト痕、胸骨に圧痛を認めた。血液検査では、貧血や血小板低下、凝固能異常を認めた。ROTEMでは、EXTEMの凝固時間が延長しFIBTEMの凝固波形は消失した。画像検査で、縦隔拡大や胸骨骨折、縦隔血腫を認めたが、全身状態は安定しておりそのまま入院とした。入院4時間後に血圧低下、超音波で血腫増大を認めた。血液検査で貧血や血小板低下の増悪、フィブリノゲンも著減し、ROTEM所見も改善しなかった。造影CTでは内胸静脈損傷による縦隔血腫と診断した。保存加療となり輸血を開始した。RCCとFFPを4単位ずつ輸血したが、翌日のROTEMで、EXTEMの凝固時間短縮やFIBTEMの血栓硬度上昇を認めたが、循環動態も不安定であり効果不十分と考えた。輸血を継続したところ第3病日には貧血や凝固異常が改善し循環動態も安定した。本例は、その後全身状態が安定し第19病日に近医へ転院した。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1346-9592
  • 医中誌Web ID : 2017277122

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