2021年7月 - 2026年3月
川井型マルチアンビル装置による深部マントル研究の新展開
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
大容量川井型マルチアンビル装置(KMA)の最近の技術革新により、今まで困難であった圧力、温度での高圧実験を展開できるようになったことを背景に、KMAの特性を最大限に活かすことでマントルの未解決の諸問題に様々な角度から取り組む研究課題である。マントルの強親鉄元素の高濃度異常の原因として提唱されているレイトベニア仮説論争の検証、下部マントルに存在するとされる始原的リザーバーの起源を解明するために、超高圧下における分配実験、変形実験、熱電測定といった新しい視点の実験から制約する。これらの結果を整合的に説明できる統合的なマントル進化モデルを創出することが本研究の目的となる。
本年度は、本研究の多角的アプローチのうち以下の3つの研究において成果を得ることができた。1)レイトベニア仮説を検証するために高圧下での溶融鉄とケイ酸塩メルト間の強親鉄元素の分配実験を圧力25GPaで行い、回収試料の分析を東京大学平田研究室のレーザーアブレーションICP-MSで行った。先行研究における川井型マルチアンビル装置での最高圧力実験である18GPaの圧力の結果と異なり、強親鉄元素はケイ酸塩メルトにより分配される結果が得られた。2)始原的リザーバーの存在がBEAMSモデルで説明できるかを検証するための試験的に低歪量の高圧変形実験を行った。ブリッジマナイトとポストスピネルを直列に接した一軸圧縮実験を行ったところ、両者に違いは見られなかった。また、ブリッジマナイト単相の構成則を決定し、ブリッジマナイトがマントル主要鉱物で最も硬いことを明らかにした。3)下部マントルと核の間の熱交換を制約するため、パルス加熱法による熱伝導度測定でブリッジマナイトの熱伝導度の組成依存性を決定したところ、今までの研究に比較して、AlやFeといった主要な不純物は大きく熱伝導度を下げることが確認された。
本年度は、本研究の多角的アプローチのうち以下の3つの研究において成果を得ることができた。1)レイトベニア仮説を検証するために高圧下での溶融鉄とケイ酸塩メルト間の強親鉄元素の分配実験を圧力25GPaで行い、回収試料の分析を東京大学平田研究室のレーザーアブレーションICP-MSで行った。先行研究における川井型マルチアンビル装置での最高圧力実験である18GPaの圧力の結果と異なり、強親鉄元素はケイ酸塩メルトにより分配される結果が得られた。2)始原的リザーバーの存在がBEAMSモデルで説明できるかを検証するための試験的に低歪量の高圧変形実験を行った。ブリッジマナイトとポストスピネルを直列に接した一軸圧縮実験を行ったところ、両者に違いは見られなかった。また、ブリッジマナイト単相の構成則を決定し、ブリッジマナイトがマントル主要鉱物で最も硬いことを明らかにした。3)下部マントルと核の間の熱交換を制約するため、パルス加熱法による熱伝導度測定でブリッジマナイトの熱伝導度の組成依存性を決定したところ、今までの研究に比較して、AlやFeといった主要な不純物は大きく熱伝導度を下げることが確認された。
- リンク情報
- ID情報
-
- 課題番号 : 21H04996
- 体系的課題番号 : JP21H04996