2020年4月 - 2023年3月
フランスにおける非正規滞在移民女性の正規化運動と生活世界の論理
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は新型コロナウイルス感染拡大防止対策の影響で海外渡航が認められず、フランスにおいて社会調査を実施できなかった。
そのため、関連文献を網羅的に読み研究動向をレビューし、概念枠組みの検討を行った。その成果として、貧困層であるエスニック・マイノリティ女性が担い手となる社会運動について、日本社会学会で報告した。そもそも貧困層の女性を社会運動の主体として想定しうるのかが研究上では論争になっている。その上エスニック・マイノリティの女性については、政治的に存在することもホスト社会のマジョリティから正統性を認められないこともあり、政治参加にあたって制度的な障壁があることも事実である。貧困層のエスニック・マイノリティ女性を、研究者がロマンチックに理想化して主体として立ち上げるのでもなく、過度に構造的な力関係の制約を重視することで、受け身の存在として描くのでもなく、主体と構造の両方を考慮したポストコロニアルなアプローチを実証研究に使える概念を鍛え直すべく理論的検討を行った。
また、フランスの事例を相対化すべく、日本の非正規滞在移民の生活困窮をめぐる社会運動について、インタビュー調査を33件実施することができた。また再配分をめぐる日本の反貧困運動の参与観察を行い、エスニック・マイノリティが主体的に運動の担い手となるプロセスを調査した。とくに入管収容所のなかでハンガーストライキによる抗議行動を行ったのちに仮放免となった個人についてアガンベンの「ホモ・サケル」の概念を用いて分析を行った。
そのため、関連文献を網羅的に読み研究動向をレビューし、概念枠組みの検討を行った。その成果として、貧困層であるエスニック・マイノリティ女性が担い手となる社会運動について、日本社会学会で報告した。そもそも貧困層の女性を社会運動の主体として想定しうるのかが研究上では論争になっている。その上エスニック・マイノリティの女性については、政治的に存在することもホスト社会のマジョリティから正統性を認められないこともあり、政治参加にあたって制度的な障壁があることも事実である。貧困層のエスニック・マイノリティ女性を、研究者がロマンチックに理想化して主体として立ち上げるのでもなく、過度に構造的な力関係の制約を重視することで、受け身の存在として描くのでもなく、主体と構造の両方を考慮したポストコロニアルなアプローチを実証研究に使える概念を鍛え直すべく理論的検討を行った。
また、フランスの事例を相対化すべく、日本の非正規滞在移民の生活困窮をめぐる社会運動について、インタビュー調査を33件実施することができた。また再配分をめぐる日本の反貧困運動の参与観察を行い、エスニック・マイノリティが主体的に運動の担い手となるプロセスを調査した。とくに入管収容所のなかでハンガーストライキによる抗議行動を行ったのちに仮放免となった個人についてアガンベンの「ホモ・サケル」の概念を用いて分析を行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K02140
- 体系的番号 : JP20K02140