共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年4月 - 2012年3月

他者の身体的内部状態推定に基づくシンボルと感覚運動情報の融合コミュニケーション

文部科学省  科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型)「伝達創成機構」)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
22120517
体系的課題番号
JP22120517
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

昨年度のH22年度では,スポーツの初心者に対して,どのような身体の動きを実行し,どのような感覚を得れば,良いスポーツ運動が実現できるのか,ということをコーチングするロボットシステムを題材として研究を推進した.時系列の感覚運動情報を位相空間上の静止点として配置し,動作を強調して提示する際には2つの動作に対応する2点の内分点・外分点を計算し,運動を再生することで自然なコーチングコミュニケーションが実現可能であることを確認した.今年度のH23年度では,この要素技術を発展させ,他者に動作を伝達するというコミュニケーションにおける,動作の強調の度合いの決定問題,「もっと」や「ちょっと」という言語的な注意表現の選択問題に対して,その選択戦略の理解とモデル化を目指した。
具体的には,昨年度までとは立場を逆にし,ロボットエージェントをスポーツの初心者,人間の被験者をコーチとし,ロボットエージェントに対して強調動作提示と言語的注意表現を用いたコーチをする課題を被験者に与え,そのコーチングの挙動を観察・分析した.その結果,目的の手本動作と,初心者が行った動作との位相空間上の距離が大きければ大きいほど,コーチが用いる強調動作の強調度合いが大きくなり,その関係は線形に比例する傾向が認められた.また,使用された言語的注意表現についても,位相空間上の距離と「もっと」や「ちょっと」という度合いの表現に強い相関が認められた.この結果により,人間が行っているコーチングスキルを位相空間上の距離という簡単なパラメータで表現することが効果的であることが示唆され,そのモデルをロボットに実装することで,強調動作の提示と言語的注意表現を用いた自然なコーチングロボットの実現が可能であることを示した.

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/p/22120517
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-22120517
ID情報
  • 課題番号 : 22120517
  • 体系的課題番号 : JP22120517