2020年4月 - 2023年3月
高着床能力胚の生産を目指した核成熟速度に対応したウシ卵子体外培養系の構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
令和3年度は、高着床能力胚の生産を可能とする核成熟速度に対応したウシ卵子体外培養系を構築するために、「成熟培養(IVM)時における核成熟速度の非侵襲的な予測モデルの改善」と「モデルにより予測された各成熟速度とIVM動態および発生能との関連性の解析」を行った。まず、食肉処理場由来卵巣由来のウシ未成熟卵子卵丘細胞複合体(COC)を対象とし、個別培養系を用いて18時間IVMを実施した。IVM中、経時的にCOCの形態を撮影し、IVM後の核相を卵子毎に評価した。IVM後に第二減数分裂中期に達したかどうかの予測モデルを線形モデルおよび3種の機械学習(決定木、ニューラルネットワークおよびサポートベクターマシン)により作成し、その精度を比較した。その結果、サポートベクターマシンによるモデルはF値が最も高く(0.72)、感度は100%、適合率は53%であった。続いて、COC 109個を対象とし、IVMから発生培養までの全ての過程を個別培養および個別受精系を用いて実施し、胚盤胞への発生率を評価した。作成した予測モデルによって、IVM中のCOC形態から卵子の分類を行い、分類ごとにIVM中のCOC動態および発生率の比較を行った。卵子の直径やIVM前のCOC面積には違いはみられなかったが、核成熟が早いと予測された卵子はIVM 12時間以降のCOC面積が小さかった(P<0.05)。また、体外受精開始後7日目の胚盤胞への発生率に関しては違いが見られなかった。以上のことから、IVM時における核成熟速度の非侵襲的な予測モデルの改善には成功したが、モデルにより分類された卵子間での発生能に違いはないことが明らかになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K15681
- 体系的課題番号 : JP20K15681