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2017/10/12

出席は個人情報だ

Tweet ThisSend to Facebook | by Prof.Dr. SUMIOKA
 教務経由で「保護者」から、特定学生の出席の詳細について問い合わせがくることがある。しかし、そもそも「保護者」というのはなんだ? 1回生、2回生の未成年にしても、大学生となると、かなり違和感がある。入学時に誓約書に署名した、学業と学費の「保証人」という方が、正しいのではないか。しかし、保護者にしても、保証人にしても、学生の生活の管理監督責任者であって、大学の出席状況も把握していない、という時点で、責任を怠っているように思う。

 そもそも出席は、単純に単位認定の資格前提となる2/3ルールのために取っているだけであって、総数だけの問題。つまり、何回来たか、だけの話であって、いつ来たか、来なかったかは、どうでもよい。もちろん、いつ来たか、来なかったかを記録しないと、何回来たかはわからないのは当然だが、教務に関しても、何回来たか以上の話は職務分掌外のはず。

 もちろん状況はわからないでもない。数十年前は、大学で部厚い学生名簿が作られ、学生はもちろん保証人の住所電話番号まで載っていて、学生全員、教職員全員に配られていた。東大でも、学生便覧に全教員の住所電話番号が記載されていた。それで、友人や先生に年賀状を送るのは当たり前だったし、先生が御近所にお住まいだと、レポートを直接に届けにいったり、さらにはお茶に招いていただいたり、なんていうこともあった。私が教員になりたてのころも、講義を連続で欠席していたら、親に電話した。おぼっちゃま、おじょうちゃま学校だったから、通学途中の新宿などでさぼっているのは、親はもちろん大学としてはあってはならないことだったから。

 しかし、時代が変わった。いまやなんでも個人情報。出席も、上述のように、単位認定資格を目的として収集した情報だから、それを大学がかってに生活指導などに転用することは許されない。保証人であろうと、学生とは別の個人である以上、第三者の大学や教員が本人の許可なしに、あれこれ情報をもらすわけにはいかない。実際、いまの時代、親でも離婚して親権を争っているとか、DVなどで接見が大きなトラブルの原因になるとか、なにが背景にあるかわからない。まして、固定電話の時代ではないので、モバイルの電話番号でかかってきた電話では、「保護者」本人かどうか、まったくわからない。ストーカーが保護者を名乗り、学生の行動を掌握して、よからぬ行動を計画しているかもしれない。

 なんとも世知辛い。しかし、大学や教員が、よけいなことをして、よけいな問題を引き起こすことだけはぜったいに避けないといけない。しかし、そもそも親だか、保護者だかのくせに、学生の生活を掌握できていない、というのも、時代の風潮だろう。なんで親子関係に、大学や教員を介さないとならないのか。直接に聞いて、問いただせばいいだけのこと。それをやったうえで、うちのやつは×回出席している、と言っているんですが、どうもおかしい。確認したいんですが、というのなら、わからないでもない。

 だが、そうではないらしい。大学に問い合わせたことを、学生には言わないでくれ、などと言われると、いよいよあやしい。家計の事情で、状況によっては退学を考えなければならないような事態なのか、とも思うが、それだとしても、それこそ学生本人と親が直接によくよく話し合うべきことであって、ひそかに大学に勉学生活を問い合わせる、ということからして、どこかおかしい。

 なんにしても、学生の信を得て出席を取っているのだから、学生本人を裏切ってはなるまい。教務として知っておくべき出席の合計回数以外は、教務さえも伝えるべきではあるまい。かくも教室は、神聖な場であるべきだ、と思う。
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