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2017/12/31

不必要なカタカナまじりの「専門用語」?

Tweet ThisSend to Facebook | by Yuko Takahashi
 数か月前のことになりますが、ある文章の中で「前1200年のカタストロフ」という言葉を見かけました。実はこれ、私がかねてより受け入れられないと思っていた用語です。いわゆるギリシアにおけるミケーネ文化の崩壊を意味しており、ある日本人の研究者が使い始めたものです。

 世界的に見て、同様の表現はしばしばなされますが(destruction, catastrophe, etc.)、ただし「前1200年のカタストロフ」という言葉そのものが学界などで定着した専門用語とは言い難い状況ではないかと思われます。日本では長らく「ミケーネ文化の崩壊」という言葉が使われてきましたが、「カタストロフ」というカタカナまじりの用語はその人物が個人の好みにより使い始めた表現でしょう。

 数か月前に私が見た文章は別の方が書いたものですが、その執筆者はこの用語の使用に賛意を感じているからこそ、この言葉を選択したのでしょう。

 一方で私は、「カタストロフ」というカタカナ表記をしなければならない理由がわからず、受け入れられない・・・と、以前から強く感じていました。「ミケーネ文化の崩壊」を「前1200年のカタストロフ」と言ったところで、何かが解明されるわけではありません。

 このように不必要(ないしは不適切)とも感じられるカタカナまじりの言葉の中で、私が今まで最も強い拒否感を感じたものが「ポリスのインヴェンション」です。この言葉に遭遇したのはもうずいぶんと前のことになりますが、今でも忘れることができません。「ポリスの成立(または、誕生)」を「ポリスのインヴェンション」と言ったところで、何か新しい知見が得られるわけではありません。

 この研究ブログに半年ほど前にレフカンディに関して書いたとおり、ギリシアのミケーネ文化崩壊期から初期鉄器時代にかけては、我が国においては、未だに必要最低限のことがなされていない業績が出されています。そのような状況の中で、上記のような表現を使用することは、何か新しいことをやっているように見せかけて人目を引くことばかりに力を入れているような印象を受け、どうも私にはなじみません。もっと他に大切なこと、やらなければいけないことがあると思います。

 「ポリスのインヴェンション」はもとより、「前1200年のカタストロフ」も、私は使用することはないでしょう。
14:29 | 投票する | 投票数(2) | コメント(1)
コメント
kaizen2017/12/31 22:36:08
強く同意。