カウンタ

2554081(Since 21st May 2010)

研究ブログ

研究ブログ >> 記事詳細

2018/03/04

米国的価値を尊重したインディアンスのロゴマーク問題

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

2月5日(月)に発売された日刊ゲンダイの2018年2月6日号27面に私が隔週で担当させていただいている「メジャーリーグ通信」の第20回「米国的価値を尊重したインディアンスのロゴマーク問題」が掲載されました[1]。


今回は、今年1月に大リーグのロブ・マンフレッドコミッショナーが表明した、「ワフー酋長」の愛称で知られるクリーブランド・インディアンズのロゴマークの使用を2019年から制限する措置について、文化における多様性と包容性の重視という米国の価値観との関係から検討しています。


本文を加筆修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。


**********************
米国的価値を尊重したインディアンスのロゴマーク問題
鈴村裕輔


興行的な観点から本拠地や球団名を変更することが珍しくない大リーグでは、新しいユニフォームも頻繁に導入されるし、ロゴマークを変える球団も少なくない。しかし、コミッショナーのロブ・マンフレッドが1月29日に公表した、インディアンズが2019年から現行のロゴマークをユニフォームや横断幕に使用しないという措置は、社会的な側面の強いものだ。


「ワフー酋長」の名で知られるインディアンズのロゴマークが導入されたのは1948年のことで、球団の象徴として帽子やユニフォームから球場で販売されるビールの紙コップに至るまで、様々な場面で用いられてきた。


だが、赤銅色の顔に大きな目と口という「ワフー酋長」の容姿については「先住民を侮蔑している」、「人種間の平等という米国の理念に合わない、時代遅れのもの」という批判が寄せられ続けており、1970年代から先住民たちの抗議活動が続いていた。


2016年にはアメリカ先住民の権利の擁護と地位の向上を目的とするアメリカインディアン国民会議(NCAI)がマンフレッドに書簡を送り、インディアンズにロゴマークの使用の禁止を求めていた。


さらに、2016年にはカナダにおいてカナダ国内でのロゴマークの使用を禁止する裁判が行われるなど、インディアンズへの風当たりは強かった。


こうした状況に対し、インディアンズ側も本拠地プログレッシブ・フィールドの周辺の標示からロゴマークを削除したり、「ワフー酋長」ではなくブロック体の「C」を用いたロゴマークを併用するなど、批判を回避しようと努めていた。


しかし、コミッショナーの介入が本格化する中での抵抗は無意味だと考えたインディアンズのオーナーのポール・ドーランは、「インディアンズという球団名が1897年に初めて大リーグ選手となった先住民ルイス・ソカレキスに敬意を表しているものであり、ロゴマークにも差別的な意味合いはない」と反論しつつ、最終的にはロゴマークの使用制限に同意したのである。


今回の措置は、「大リーグは野球を通して多様で包容力のある文化を築くことを目指してきた」というマンフレッドも声明が示すように、人種や宗教の違いによる対立が深刻化しつつある「トランプ時代」の米国にあって、機構が大リーグは「誰にでも開かれた社会」という米国的な価値観を尊重していることを訴えるものだ。


それだけに、インディアンズだけでなく、ブレーブスやNFLのレッドスキンズなど、先住民に由来する球団名やロゴマークを使用している団体への批判も高まる中で、各組織がどのような判断を下すか、今後の動向が注目される。
**********************


[1]鈴村裕輔, 米国的価値を尊重したインディアンスのロゴマーク問題. 日刊ゲンダイ, 2018年2月6日号27面.


<Executive Summary>
The Abolishment of the Wahoo Logo Is an Esteem for US Values (Yusuke Suzumura)


My latest article titled "The Abolishment of the Wahoo Logo Is an Esteem for US Values" was run on 5th February 2018. Today I introduce the article to the readers of this weblog.


トラックバックURLhttps://researchmap.jp/index.php?action=journal_action_main_trackback&post_id=66742
17:38 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | トラックバック(0) | 評論