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2018/03/07

何故われわれは財務省の「森友文書問題」を憂慮するのか

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

昨日、財務省は参議院予算委員会理事会に対し学校法人森友学園への国有地売却問題に関する調査の状況について、「文書は捜査の対象になっており直ちに確認できない」と報告しました[1]。


決裁文書を書き換えたのではないかという疑惑に対して財務省が真相の開示を先送りしたことに野党は「時間稼ぎをしようとしているのは明らかだ」などと反発するとともに[1]、与党である自民党と公明党も財務省に対して速やかな資料の調査と関係者への聞き取りを求める方針で一致し、自民党の二階俊博幹事長が西村康稔官房副長官に対して財務省に文書に関する資料を速やかに国会に提出させるよう要請しました[2]。


確かに、現在大阪地方検察庁が捜査を進めているため、捜査を妨害することがないよう配慮することは重要です。


しかし、国会は国権の最高機関であり、行政の適切さを監視する重要な役割を担っていることも明らかな事実です。


また、国会法が「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」と定め[2]、議院証言法が「各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭及び証言又は書類の提出(提示を含むものとする。以下同じ。)を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに応じなければならない」と規定する通り[3]、国会からの要求の重要さは法的な根拠を与えられています。


さらに、財務省側が文書の公開を拒む際に「捜査当局から口裏合わせに取られかねないとして、控えるように言われているのは事実だ」といった理由を挙げていること[4]は、一見すると適切に思われるかもしれないものの、行政機関による立法府への過剰な干渉となりかねないものです。


すなわち、検察庁は行政と司法との両性質を持つ機関[5]ではあるものの実際には法務省の一機関でしかありません。


もちろん、検察庁が国家の刑事訴追機関として公訴権を独占し、刑事司法運営の中核的機能を担っているため、他の機関から干渉されず、中立公正な立場を維持することは重要です。


それでも、行政機関の正統性が選挙によって国民から選ばれた国会の信任によって保証されるとするなら、「口裏合わせに取られかねないから公開を控えるように」といった発言は、本来は国会の監督下にあるべき行政機関としての検察庁が監督者である国会の要望を拒否するよう、やはり行政機関である財務省に不適切な助言を行ったことになりかねません。


そして、まさにこうした点にこそ、本欄が今回の財務省の対応を憂慮する理由が存するのです。


[1]「森友文書、確認できず」. 日本経済新聞, 2018年3月6日夕刊3面.
[2]国会法. 第104条.
[3]議院証言法. 第一条.
[4]森友文書「調査しにくい」. 日本経済新聞, 2018年3月5日夕刊3面.
[5]我が国の検察制度の特色. 検察庁, 掲載日不詳, http://www.kensatsu.go.jp/kensatsu_seido/tokushoku.htm (2018年3月7日閲覧).


<Executive Summary>
Why Do We Apprehend the Ministry of Finance's "Moritomo Documents Issue"? (Yusuke Suzumura)


The authorities of the Ministry of Finance says that it is impossible for the MOF to show original documents concerning on the Moritomo Gakuen Issue" on 6th March 2018. It is very apprehensive problem for us, since they deny an inquire of the House of Councilors which represents the highest organ of state power.


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