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2018/12/02

【開催報告】野球文化學會第2回研究大会

Tweet ThisSend to Facebook | by suzumura

昨日、10時30分から16時30分まで、法政大学大市ヶ谷田町校舎T511教室において野球文化學會の第2回研究大会が開催されました。


今回は、第1部に中村哲也先生(高知大学)を座長とする一般研究発表が行われて6件の報告があり、第2部のシンポジウムでは基調講演と私がコーディネータを務めるパネルディスカッション「野球と審判-その不可欠な存在と将来像-」が行われました。司会は小野祥之理事でした。


各報告の概要は以下の通りでした。


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第1部 一般研究発表(座長:中村哲也[高知大学])
(1)長瀬快(桐蔭横浜大学)/日本人二刀流選手のメジャーリーグでの活躍に関する研究~大谷翔平選手に焦点を当てて~
アナハイム・エンゼルスの大谷翔平選手を対象に、投手と打者の二つの役割から試合に出場する機会のある「二刀流」としての大谷選手の2018年の活動と成果を打者と投手の両面から検討し、課題と今後の対応を考察するとともに、最も留意すべき点として「防げる怪我」と「防げない怪我」のうち「防げる怪我」を確実に回避すべきことが挙げられた。


(2)石原豊一/グローバルスポーツにおけるプロ野球の拡大とプロ・アマの溶解についての一考察―「ベースボール・レジーム」における新興プロ野球―
現在、野球界において形成されつつある各国野球リーグのグローバルな連関関係を「ベースボール・レジーム」と捉え、「ベースボール・レジーム」の下で1990年代以降に結成ないし再興した各国の小規模プロ野球リーグの状況を検討することで、世界の野球界の現状が考察された。


(3)遠藤玲奈/捕手の能力とハイパー・メリトクラシーについての考察
特定の分野における努力によって上位を目指す能力主義(メリトクラシー)を超え、総合的な能力を求める「ハイパー・メリトクラシー」の概念に基づき、捕手に求められる能力と理想的な捕手像とを捕手の実例に基づいて検討した。


(4)中間茂治/子どもにおける野球の現状と教師のかかわり
「野球離れ」が指摘される現在の中学・高校野球を対象に、野球人口の減少が日本全体の人口減少の影響のみによるものではなく、子どもの考えを度外視してプロ入りや甲子園出場を目指して熱心になる保護者の存在が少なからず影響していることを、学校教育の現場の動向を踏まえて実証的に考察した。


(5)狩野美知夫/「野球指揮」-軍隊の指揮系統に学ぶGM・セイバーメトリクスの導入
野球における指揮命令系統のあり方を軍隊の指揮系統を基に検討することで、日本のプロ野球におけるゼネラル・マネージャー、監督、コーチ、データ分析室などの役割のあり方の特徴を考察するとともに、戦略を立てる者が不在であるために指揮系統が乱れる可能性を示した。


(6)伊藤正浩/「試合前挨拶」の仙台発祥と、その礎となった旧制二高「雄大剛健」の校風と三好愛吉校長
日本の野球界に独特の現象である「試合前挨拶」について、発祥地が仙台であることを文献に基づいて実証的に明らかにするとともに、旧制第二高等学校の校風である「雄大剛健」と校長の三好愛吉の教育方針、さらに1911年に起きたいわゆる「野球害毒論」との関係が検討された。


第2部 シンポジウム「野球と審判-その不可欠な存在と将来像-」
(I)基調講演
山崎夏生(日本野球機構)/「私の野球審判論」

29年間で1451試合の一軍公式戦にプロ野球の審判として出場し、2010年に現役を引退した後は日本野球機構の審判技術指導員として後進の育成に当たっている演者が、これまでの審判としての活動と研鑽から、審判に求められる資質や能力、さらに審判のあるべき姿を報告した。


(II)パネルディスカッション「野球と審判-その不可欠な存在と将来像-」(コーディネータ:鈴村裕輔[法政大学])
(1)吉田勝光(横浜桐蔭大学)/スポーツ審判・判定を取り巻く状況と研究
野球及び野球以外のスポーツの判定における誤審の問題を2002年から2018年までの新聞記事の記述と裁判所の判決、さらに日本スポーツ仲裁機構への提訴の件数から検討し、新聞記事においては審判に関する記事が毎年増加しており、審判に対する注目が高まっているのに対し、裁判及び仲裁判断では審判が対象となる事例が限定されていることが示された。


(2)菅谷齊(東京プロ野球OBクラブ/共同通信社)/新聞記者から見た審判
記者として審判を取材、報道してきた報告者のこれまでの経験及び知見から「あるべき審判の姿」を体験的に報告するとともに、ビデオ判定などが導入された現在のプロ野球においては審判が「モノを言えない」状況に置かれていること、さらにファンが「ドラマ」を求めなければリクエスト制度が廃止されることはない点などが指摘された。


(3)鈴村裕輔(法政大学)/米大リーグにおける判定へのIT技術の導入状況
米国大リーグにおいて、審判の評価のための仕組みであるUmpire Information System(審判情報システム、通称:クエステック)やビデオ判定がいかなる経緯で導入され、普及してきたかを各時代における審判を巡る問題から検討するとともに、審判と判定における不作為バイアスとの関係から、IT技術の導入の持つ効果が考察された。
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第2部のパネルディスカッションでの質疑応答では、審判を取り巻く問題や課題、さらに「誤審」を野球の一部と捉えるか否かといった点が議論されました。


第1部及び第2部を合わせて延べ50名以上の方が参加され、研究大会は盛況のうちに終わりました。


次回の第3回研究大会も多くの方に参加していただけることを願っております。


<Executive Summary>
The Forum for Researchers of Baseball Culture the 2nd Research Conference (Yusuke Suzumura)

The Forum for Researchers of Baseball Culture (FRBC) held the 2nd Research Conference at Hosei University on 1st December 2018.  In this time, six research presentations and symposium entitled with "Baseball and Umpire: The Future of the Essential Part of the Baseball" were available.


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