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2018/12/02

論文「日本国民禁酒同盟と農村対策」(『社会事業史研究』2018年9月)のこと

Tweet ThisSend to Facebook | by よこやん
刊行から約2ヶ月も経ちましたが、『社会事業史研究』54号(2018年9月)から、「日本国民禁酒同盟と農村対策―御大典禁酒村から時局匡救、東北救済へ」という論文を出しました。この論文発表は2015年5月に社会事業史学会から吉田久一研究奨励賞を受賞した際に、義務付けられていたものです。(賞に伴う研究助成が3年で、1年以内に同誌に論文を発表する義務があります。)

論文のプロットはタイトルと副題がそのまま示しています。つまり、昭和天皇の即位式を機に、日本国民禁酒同盟の旗振りのもと、多くの禁酒村が生まれました。しかし、数年経つと、昭和恐慌と農村不況、さらに1934年頃の東北地方の惨状報道を機に、その禁酒の性格が時局匡救、農山漁村振興の方向へ転換されていくという内容です。その筋書きの中で、日本国民禁酒同盟を介在とした農村と国家の関係の微妙さを考えようという内容です。

実を申しますと、今の今まで、論文で農村社会を主題にしたことはありませんでした。その意味では、非常に新鮮な経験ができたと思っています。拙稿の準備をするまで、私が農村社会を論じるなど夢にも思っていなかったのです。

それにしても、今回、私が訪れたことのない多くの農村を扱いました。小学校改修のため禁酒貯金でその資金を捻出して伝説となった、石川県河合谷村は無論、茨城県高田村、岐阜県間瀬村、長野県三穂村、佐賀県名護屋村・馬渡島、山形県長瀞村、長野県大門村、神奈川県大沢村・・・・・・何十という農村の名前を出しました。
ちなみに佐賀県名護屋村の近くに実家のある某知人の話によれば、非常に僻地で土地的に近くても名護屋や馬渡島に行ったことがないのだとか。拙稿を読んでくださった上での、関係地域の方々からの情報提供は大歓迎です。是非よろしくお願いします。

今の今は炭鉱社会と禁酒問題で論じることが複数残っており、その論文化や研究報告を急ピッチで進行中です。それ以外でも、禁酒と教育、軍隊、飲酒運転、未成年者飲酒禁止法やその〈日本の植民地や周辺地域〉での施行、戦後の新生活運動、アル中療養所・・・・・・。積み残した課題は山積状態です。2015年に刊行した『日本が優生社会になるまで』よりも、完成度の高い禁酒運動史の体系化の構築が中長期的な目標です。
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